2月、春を想い、チューリップの鉢植えを2つ購入した。ひとつは我が家に、もうひとつは歩いて10分ほどの実家の庭に置いた。めっきり春めいてきた4月上旬、我が家の鉢植えのチューリップが芽吹き始めた。
それを横目に実家に行くと、なんと、今を盛りにチューリップが咲き誇っていた。
(母のことだから、欠かさず水や肥料を与えたのだな)とばかり思っていた。そのことを母に聞くと、全く水も肥料もやらず、そのままにしておいたとのこと。
満開のチューリップの花をみながら、母は言った。
「やっぱり、花は地面(土)に近いところに置いとくと、スクスク育つねぇ」
(なるほどな)と思った。実家のチューリップは、自分の居場所をみつけ、大地のエネルギーを吸収し、大きく花開いた。当たり前だけれど、忘れがちなことを思い出させてくれる、そんな春の日の出来事だった。
校長 片山 造