今日は4時間授業を見学しました。はじめに2時間めに2年「現代文精読」を見学しました。担当は磯田先生です。
「精神的に向上心のないものは、馬鹿だ」
私は二度同じ言葉を繰り返しました。そうして、その言葉がKの上にどう影響するかを見詰めていました。「馬鹿だ」とやがてKが答えました。「僕は馬鹿だ」Kはぴたりとそこへ立ち留まったまま動きません。彼は地面の上を見詰めています。私は思わずぎょっとしました。
今日はこの辺りからの精読がなされました。小説の中で最も読まれてきたと言われている夏目漱石晩年の名作「こゝろ」です。「こゝろ」を学び始めて今日で9時間めになるとのこと、この科目の名称のとおり、まさに精読です。漱石が綴った文章のフレーズの一つ一つから読み取れることを考えます。
先生はロイロノートを使って、班で考えたことを投影し、解説しながら皆で確認していきます。小説の魅力は、読み手に想像の余地を残していることだと言われています。「こゝろ」に登場する先生が自死に至った理由を、「K」との時間の中でなんとも見事に表現されているように思います。
生徒たちは熱心に取り組んでいました。「こゝろ」は30歳ぐらいになった時にもう一度読んでみたら、今はピンとこなかった「K」や「私」の言動への理解が深まり、また違った読み方ができるかもしれません。同じ景色を見ていても、日によって見え方が異なることと似ているかもしれませんね。小説の魅力はそういうところにもあるのでしょう。
漱石のことばのチカラを改めて感じることができる深い授業でした。有難うございました。