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5 地道な努力ができる力を身につけよう(夏休みシリーズ②)

本日は大雨が多くの交通機関に影響したため、本校は残念ながら休校になりました。ブログを更新しておきたいと思います。

4回目の折に、「様々な角度からものごとをとらえる力」をとりあげました。今回も、上校生に身につけてほしい力について書いてみたいと思います。

生きていくうえで必要な力の一つに「忍耐力」があります。あきらめないで最後まで課題に取り組む力です。上校生の皆さんにたずねますが、とてもピース数の多い、絵柄の無い白地のジグソーパズルをしてみたいと思いますか。とほうもない時間をかけて最後までピース合わせができるでしょうか。実は、これは宇宙飛行士の選抜試験の一つなのです。宇宙飛行士の業務には大変な忍耐力が要るからです。(参考文献にあげた「レジリエンス入門」で紹介されています。)

勉強の積み重ね、スポーツの基礎トレーニング、楽器の音階練習、病気の治療などは大切で意義のあることですが、効果を実感できるまでには、長い時間がかかります。短期間で見ると「こんなことしても時間のムダとちゃうん」「やっても意味ないんちゃうの」という思いが強くなり、取り組みをやめてしまい、ラクな選択をしてしまうことが多いのではないでしょうか。しかし、何かを成し遂げるプロセスには、単調な作業があって、それをこなしていく必要があるのはまぎれもない事実です。たとえば活躍が華々しいプロのスポーツ選手や演奏家が毎日どれほど単調な練習をこなしているか、ということです。長い期間にわたって高いパフォーマンスをし続ける背後には、基礎基本を大切にする大変な努力があります。そういう人たちは日々、みっちりと柔軟体操、筋トレ、発声練習、音階練習などをこなしています。ベートーヴェンは耳が不自由になっても晩年になるまで、ピアノの練習と民衆音楽研究を怠りませんでした。漫画家の手塚治虫は若い頃に古いディズニー映画を何百回と繰り返し見て勉強したそうです。打撃の記録を持つプロ野球選手が現役時代に毎日どれだけ素振りをしたか(一日何千回を毎日繰り返すのです)、という話もよく聞きます。

我々は豊かな成果をもたらしてくれる単調な取り組みをしてく必要があるのです。前回述べたことと関係させて言えば「単調な作業は目標達成のためには欠かすことのできないものだ」という視点を身につけることが大切になります。単調な取り組みに耐える力はストレスの多い社会で何かを達成し、たくましく生きていくうえで欠かすことのできないものでしょう。ただし、忍耐力が必要と言っても我慢のしすぎは逆によくありません。自分だけでは解決できない課題を抱え込んだ時には、周りにSOSを出しましょう。そういうSOSを発信する力も大切なのです。ポイントはこの忍耐は何を目標としたものなのか、ということをきちんと意識するということです。何が何でも宇宙飛行士になりたい人は、あきらめずに無地のジグソーパズルにでも懸命に取り組むでしょう。上校生の皆さん、目標を達成するために、単調なことにでも耐える力を身につけましょう。この夏休みには、自分のやる気のスイッチを入れて、コツコツと地道な努力をしている人の姿にも学んでみてください。

参考文献:内田和俊「レジリエンス入門」(ちくまプリマー新書)・・・中高生向けにレジリエンスについてとてもわかりやすく解説されている本です。