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37 新聞の読者投稿欄に本校の6名の生徒が書いた文章が掲載されました

大手の新聞朝刊の一回分にはいったいどのくらいの情報が載っているのでしょうか。紙面を最初から最後まで一字一句残らず目を通したとしたら?ある新聞では約50万字だそうです。400字原稿用紙にして、1200枚ほどになります。純粋な記事部分だけでも18万字ほどだそうです。なかなかピンときませんが、ふつう本一冊書くのに必要なのが10万字くらいだと言われています。近頃の行間を大きくとって文字のポイントを大きくしているものでも6万字くらいはあると思います。つまり、記事以外のところも合わせると、本5冊分くらいの情報が一回の新聞には載っていることになります。そう考えると、新聞というのはスゴイ!と思いませんか。それだけの情報を毎日新しくして伝えているわけです。

NIE(Newspaper in Education)の活動にも少し関わったことがあるので、私は教育と新聞はもう少しタッグを組んでもいいのではないか、と感じています。残念ながら、マスコミの一部である新聞に対しても良くないイメージを抱く教育関係者もいます。それだけ、教育に対する関心が高い証拠ですが、必ずしも学校現場の実際の取組に即した取り上げ方をしてくれていない、ということが不満としてくすぶっているケースがあるのです。しかし、繰り返しになりますが、「言葉」を扱う世界として新聞社と教育現場はもっと協力しうる、いやしなければならないと私は考えています。NIEもその活動で歴史は長くたくさんのすばらしい取組がされてきているのですが、まだまだ良いかたちでの連携を進めていく余地があると思うのです。

本校では国語の授業で新聞に投稿する文章を書く授業があります。担当の教員から今年度に掲載された分を紹介してもらいました。表現をするうえで大切なのは、その対象をふまえてふさわしいように書くということです。新聞のように、不特定多数の人たちに読んでもらう文章を表現するにはどうすればよいのか。本校生徒の言葉を読んでいると、今の自分の考えや感じていることを素直に表現しているので、とてもストレートに心に響いてきます。健闘をたたえ合うラグビーのノーサイドの精神のすばらしさに感動し、だんじりの地車やりまわしの停止の瞬間に叫ぶほどの感動を覚える。あるいは、調理師をめざして、人を笑顔にできるような料理を作ることへの意気込みを述べる。言葉で表現することは世界や社会とどう関わって生きているのかを自分と他人に明らかにすることです。語句レベルでも目の前にある液体を「水」というのか「H2O」というのか、あるいは「清らかなる冷たさの精」と表現するのか、それぞれの立場で違うでしょう。私が今回読んだのは掲載された分だけですが、授業で生徒たちが書いた文章にはそれぞれの今の生活をめぐっての心の動きが刻まれているはずです。それは大新聞の記事に込められたものと本当はそう遠くないものではないでしょうか。自分と世界をつなぐために、人と人とをつなぐために「言葉」で表現するということ自体を大切にする。人を傷つけ、攻撃して追い詰めるような言葉が拡散する時代だからこそです。生徒の皆さんには、自他を大切にするような言葉の表現を身につけていってほしいと思います。