始業式 第72回入学式


 本校の満開の桜の中、4月10日の午前に始業式、午後からは72期生の入学式が執り行われました。


 校長先生の式辞の一部を紹介します。
 
 72期生のみなさん、ご入学おめでとうございます。
 みなさんは中谷宇吉郎という人を知っていますか。この3月の高校入試の英語の問題で取り上げられました。中谷宇吉郎氏は、1936年に世界で初めて人工的に雪の結晶を作り出すことに成功した科学者で、「雪は天から送られた手紙である」等のことばを残しています。中谷氏が1958年に著した「科学の方法」という本に書かれている内容の一部を紹介します。

 「…もちろん科学は、非常に力強いものではあるが、科学が力強いというのは、ある限界の中での話であって、その限界の外では、案外に無力なものであることを、つい忘れがちになっている。いわゆる科学万能的なものの考え方が、この頃の風潮になっているが、それには、科学の成果に幻惑されている点が、かなりあるように思われる。これは何も人生問題というような高尚な話ではなく、自然現象においても、必ずしもすべての問題が、科学で解決できるとは限らないのである。今日の科学の進歩は、いろいろな自然現象の中から、今日の科学に適した問題を抜き出して、それを解決していると見た方が妥当である。もっとくわしくいえば、現代の科学の方法が、その実態を調べるのに非常に有利であるもの、すなわち自然現象の中のそういう特殊な面が、科学によって開発されているのである。」

 今から80年も前に書かれた文章ですが、何の引っかかりもなく読めます。科学というものについての真理をついた内容だからでしょう。

 先達の考え方、ことばも参考にしながら、すぐ前のことだけを見るのではなく、自分が進んできた道を振り返り、遠くを見渡す時間をとることが大事なことかと思います。これは、みなさんにだけではなく、私にも言えることだと思っています。

 それでは1年間、茨高の三つの教育目標、高い志を持ち続けること、二兎を追い続けること、自主自律とは何かを考え続けることを常に意識して、自分に厳しく、そして自分に優しく頑張っていきましょう。

 
 さて、茨木高校の歴史の新たな一頁にはどのような物語が記されるのでしょうか。

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