サイレン吹鳴に引き続いて、非常放送「これは訓練です。ただいま地震が発生しました。揺れがおさまるまで各教室で待機してください。出入り口をあけてください。頭を本などで覆ったり、机の下に入ったりなどして安全を確保してください」。少し間をおいて、「揺れがおさまりましたが、物理実験室で出火がありました。落下物やガラスに気をつけ、煙を吸わないよう速やかに運動場へ移動しなさい」とのアナウンス。生徒たちは、教員の指示と誘導に従って粛々とグラウンドに向かって避難しました。
地震・台風・豪雨・河川の氾濫・土砂崩れ・落雷など挙げたらきりがありませんが、「災害」はある日突然身に降りかかります。一昨年は、1923年9月1日に発災した「関東大震災」から100年を迎えました。現在とは住宅・交通事情は異なるとは思いますが、昼食時に大火災が発生したこともあって、10万人以上の犠牲者が出た大惨事であったと伝えられています。
避難訓練は、災害時のいざというときに役立つ感覚を身につけておくため、自分たちの命を守るための訓練です。「指示に従って粛々と行動しながら、物事の優先度を的確に判断する」ことの大切さを考えることができる準備行動です。その中で、緊急時にあってもパニックに陥らない人、また、パニックに陥ってしまったとしても、そこから回復できる人を育てるための訓練です。準備行動を経験することによって、いざというときに数分間の余裕が生まれるということにもなります。災害時には、この数分間の余裕がどれほど多くの人々の命を救うかは言うまでもありません。
「命」は最優先されるべきものです。「自分の命」とともに「周囲に今ある命」を守ろう、救おうという思い、人としての「心の厚み」を持って常に行動できる人であってほしいと願っています。