オータムセミナー

2017年10月10日 後期始業式に実施

今年度の2年生(71期生)から、課題研究は全クラスで実施することになりました。そこで、オータムセミナーを課題研究の開講式と位置づけ、研究に取り組む姿勢や心構えを学ぶとともに、現在までの自分を見つめなおし、自らの将来について考える機会にしてほしいと考えています。

◇講 師  九州大学大学院農学研究院  石野 良純 教授(本校28回卒)
◇演 題  「CRISPR~その発見からゲノム編集技術まで~」

●石野先生から、今回の講演に向けて以下のようなメッセージをいただきました。
併せてご紹介します。 

茨木高校2年生の皆さん、こんにちは。高28期の石野です。かわいい後輩の皆さんにお会いできる機会をいただき、たいへん楽しみにしています。今回は、私が30年前に発見したCRISPRが、画期的なゲノム編集技術に応用されるまでのお話をしながら、薬学部へ進学した私が、農学部の教員になって分子生物学を教えている現在までの経験を通して、入学した学部で将来が決まるわけではないことや、研究者としての様々な進路と異なる研究環境について紹介します。文系志望も含めて皆さんが進路を考えていく参考になるように話したいと思います。

●生徒の感想
【オータムセミナー生徒感想】
・自分は、文系で理科などの理系科目はどちらかというと苦手で興味を持てないかもしれないと思っていたのですが、講演はすごく面白くて興味深かったです。特に高校で授業を受けた生物や化学、地学の範囲がお話にあり、高校学習内容は研究にまでつながっていくんだなあと改めて実感しました。また社会の様々な分野で役立つ研究をしていらっしゃる先生のお話を聞いて自分も何か将来役に立てる人間になりたいなと思いました。
・学問の種類とは一見関係ないような進路に進んでいる人の例をたくさん知ることができ、学部によってその後の進路は狭められないんだなと思った。大学の名前にとらわれず、自分の学びたい学問がどこで学べるかを考えることが大切ということを知った。
・高校のときに、生物の教科書でたまたま見た図がきっかけで、こんなに素晴らしい研究をなさっていることを知り、人生何があるか分からないなと思った。日々を大切にしたい。研究をするためには「何故こうなるのか。」という疑問を持ち続けることが大切なんだと思った。新しいことを発見するには、すでに存在する様々な研究の結果を利用することが重要であることがわかった。“独特なものは見逃すな” 始めたことがやりたかったことにつながるという言葉が強く胸に刺さった。
・昨年学んだ“真核(原核)生物”や“ゲノム”などの単語に加え、“CRISPR”などの新しい単語について知ることができたので、分子生物学における学びが深まったように思う。多くの人が沢山の実験をし、何度も技術改良がなされることでよりヒトの健康に役立つものが生み出されることは、素晴らしいことだと思った。
・薬学部出身でありながら農学部で教授をしていらっしゃるという石野先生の話をお聴きして、大学に入ることがゴールではなく、そこから色々な道が開けていくことが分かりました。なるべく多くの道を選べるように、大学受験を頑張ろうと思いました。
・科学に国境はないという言葉が印象的であった。科学者になるためには情報発信力やコミュニケーション力、語学力、文章力、会話力が重要であり、理系でも文系科目をいいかげんにしたらだめだなと思った。
・世の中を変えられるような意味のある研究をなさっておられるのが素晴らしいと思った。1つの技術が様々なことに利用、応用できるのだなと思った。身近なところに、今後遺伝子技術が利用されていくのだなあと思った。高校の教科書の内容をずっと頭に残していて、そこから発見に繋がったというお話から、少しの興味でも持ち続けることが大切であることが分かった。
・アーキアについて、全く知らなかったが今日の講演を聞いて興味が湧いた。アーキアの研究から現実のゲノム編集技術の開発につながっていると聞いてとても驚いた。一見、関係のないように見える発見もその後、重大な技術の開発へつながるということにロマンを感じた。
・今までゲノム編集は、特定の配列がなかったら切りとることができなかったり、時間がかかって効率が悪かったりなどが問題であったが、CRISPRを利用することで、狙った遺伝子を自由に切り取ることができ、時間・コスト・正確さ・操作の効率など様々な面で、今までの編集の問題を解決することができ、それらが様々な分野に応用されているのが分かった。遺伝子を切り貼りする技術が発展することで農作物や医薬品等、生活を支えているものがより良いものになるんだなあと感じた。

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