他校とは全然違う! これぞ三国丘のCSⅡ(探究授業)

 「総合的な学習の時間」とか「探究学習」とか、いろんな呼び方はありますが、生徒が自分たちでテーマを探し出して、その解決策を考える...といった授業があります。中学生のみなさん、中学校にもありますよね。三国丘高校で行っている探究授業(CSⅡ)は、そんな学習形態の最終形(究極の形)です。その証拠をお見せします。

堺市農水産課講義.jpg

 この2枚の写真が何を意味しているか、わかりますか?生徒が4人、大人が2人です。4人の生徒は、CSⅡの授業で"農業に関するビジネスプランを考えているグループ"です。2人の大人は"堺市農政部農水産課の職員の方々"です。この日は、たった4人の生徒だけのために2人の専門家(農政のプロ)が来てくれました。この日だけではありません。大学教授に教えを乞うこともありますし、食品産業などの大手民間企業を訪問することもあります。CSⅡの授業はそんなことも想定した授業なのです。ここまで徹底してホンモノに出合わせることにこだわっている高校は他にないと思います。言い方を替えれば、大学レベルの研究ができるということです。

 4人の生徒は、堺市でも規格外野菜の廃棄が問題になっているはずだという仮説のもと、廃棄されてしまう規格外野菜の活用を通じたビジネスプランを構想しています。そこで、堺市の農政を統括している堺市農政部農水産課の職員の方にお越しいただき、インタビューをすることになりました。

 生徒たちは、この日のためにプレゼンテーションを用意し、自分たちの考えを聴いてもらいました。さらに、農水産課のお二人の講義を聴いた後たくさんの質問をしました。その結果、いま堺市で起こっていることが、自分たちの想像していたものとは違うことに気づきました。例えば、こんなことです。

〇 堺市は農業生産額、耕地面積、農家数が府内1位であること

〇 市場に近い堺市の農家さんは、JAだけではなく小売店や道の駅など多様な販路を持つこと

〇 そのために、規格外野菜は出にくいこと

〇 春菊や小松菜など葉物野菜が多いことも規格外野菜が少ない要因になっていること

 農水産課のお二人にお越しいただき、堺市の農業の実態や農家のみなさんの置かれている環境についてリアルなお話を聴かせていただくことで、4人の生徒は、農業に関する課題がまだまだ奥深いことを知りました。後継者不足や自給率の問題、農家の高齢化などです。4人は2人の専門家のアドバイスを受け、農業の抱える問題について一歩も二歩も深く考えることができるようになりました。

 世間には、高校生の考えるビジネスプランなんて、どうせネットで調べた断片的な知識を繋ぎ合わせたような薄っぺらなものだろうと考える大人が多いと思います。私も三国丘高校に来るまではそう思っていました。しかし、三国丘高校で取り組んでいる探究学習は全く違います。担当の先生は決して教えません。見守り、助言します。そして、生徒が望めば、これまで培ってきたネットワークを駆使して、生徒と一緒に専門家を探します。専門家にアポを取って自分たちの思いを伝えるのは、勿論生徒の役割です。これまでの例を話せば、災害が起きたとき避難所等で使える、携帯に便利な"紙シャンプー"を考えたグループは牛乳石鹸株式会社に行きました。試作品まで作ってもらい、立派なビジネスプランを発表することができました。障がいのある方が使いやすい化粧道具を考案しようとしたグループは支援学校に行って実態を目の当たりにしました。その結果、課題は自分たちが考えている以上に多様で、その解決には多くのハードルがあることを知りました。彼女らはこの経験を糧にほぼゼロからプランを練り直し、3Dプリンターを使って、納得できる商品サンプルを作りました。

 このように、生徒が本気で取り組み、専門家や生産者の中に飛び込んで、或いは消費者や利用者に取材して形あるものを作るというのが、三国丘高校のビジネスプランの伝統です。同じように、CSⅡの授業で行うSSHの研究も、本校卒業生を中心に多くの研究者のみなさんに教えてもらい、自分たちが納得するまで突き詰めます。もし、何かを本気て追及してみたいという中学生がいたら、CSⅡの授業を受けるために三国丘高校にきてください。それだけでも十分に値打ちのある授業です。

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