三丘セミナーと言えば、大学教授による講演がほとんどですが、今回、民間企業の研究室から講師をお迎えすることになりました。それが、宮本さんです。宮本さんは、東レ株式会社の研究員として、日々研究に打ち込んでおられます。
以下、教頭からの報告です。
宮本さんは本校卒業生で、理工系の学部で修士課程を終えられた後、東レ株式会社に研究員として入社されました。現在は東レに所属しながら博士課程で学んでおられます。
宮本さんからは東レ株式会社の紹介、ご自身のキャリア、企業での研究についてのお話がありました。
東レは様々な製品を開発し社会の発展に貢献している会社ですが、「深は新なり」という理念があり、極限まで妥協なく研究を深めていくことで、新しい製品を生みだしているとのこと。ユニクロのヒートテック、不純物を取り除く水処理膜、航空機のボディに使用されている炭素繊維複合材料など、東レの代表的な製品のサンプルを見せてくださいました。実験では、水処理膜に青い着色料を混ぜた水を通すと、一瞬で透明な水に!ナノ単位の技術に驚かされました。
宮本さんは、高校時代水泳部に所属し、文化祭でウォーターボーイズをがんばっていたとのこと。大学では化学工学の学科に進学したが、はじめは化学工学という学問に魅力を感じなかったものの、熱力学を深く学ぶと面白くなり、化学工学にのめり込んでいったとのこと。その後、大学院での研究を通して、自分の研究を製品に実装したいと思い、東レに就職されました。大学では「0から1を生み出す」研究がおこなわれているが、企業では、すでに発見されている原理を企業の技術で深め、特許を取得して社会に実装していく研究がおこなわれている、とのこと。将来研究職に就きたい生徒にはとてもわかりやすい説明でした。
最後に、後輩へ送る「学び方と挑戦のヒント」として、「ピカソも、バッハも、アインシュタインも、大量の作品、論文を書いて、その中のいくつかが成功しただけ。成功の裏には大量の失敗がある。タイパとか言う前に量をこなせ。結局、それが成功への近道だ」という熱いメッセージが送られました。人生の分岐点で努力を積み重ねながら、研究者としての道を切り開いて来られた宮本さんらしい、素晴らしいメッセージでした。


「タイパとか言う前に量をこなせ。結局、それが成功への近道だ」
名言ですね。苦労して苦労して、苦労した末に成果を得た人間にしか言えない言葉です。カッコいいです。講義の中で実験をしている時の表情も素敵です。熱中している人の表情です。中学生や高校生には、まだ、わからないかもしれませんが、社会に出て、自分がやりたいことを仕事にするって、並大抵のことではありません。三国丘高校の卒業生の中に、こんな笑顔を見せてくれる人がいること...それが、私の誇りです。三国丘高校での3年間が、宮本さんの生き方に少しでも貢献しているのなら、こんなに嬉しいことはありません。