宮本さんは本校60期生で、同志社大学理工学部、京都大学大学院工学研究科で修士課程を終えられた後、東レ株式会社に研究員として入社されました。現在は東レに所属しながら早稲田大学の博士課程で学んでおられます。
宮本さんからは東レ株式会社の紹介、ご自身のキャリア、企業での研究についてのお話がありました。
東レは様々な製品を開発し社会の発展に貢献している会社ですが、「深は新なり」という理念があり、極限まで妥協なく研究を深めていくことで、新しい製品を生みだしているとのこと。ユニクロのヒートテック、不純物を取り除く水処理膜、航空機のボディに使用されている炭素繊維複合材料など、東レの代表的な製品のサンプルを見せてくださいました。実験では、水処理膜に青い着色料を混ぜた水を通すと、一瞬で透明な水に!ナノ単位の技術に驚かされました。
宮本さんは、高校時代水泳部に所属し、文化祭でウォーターボーイズをがんばっていたとのこと。京都大学をめざしていたが残念ながら不合格で、同志社大学の理工学部に進まれました。はじめは化学工学に魅力を感じなかったものの、熱力学を深く学ぶと面白くなり、よりレベルの高い環境で学ぼうと京都大学の大学院に進まれました。そして、自分の研究を製品に実装したいと思い、東レに就職されました。大学では「0から1を生み出す」研究がおこなわれているが、企業では、すでに発見されている原理を企業の技術で深め、特許を取得して社会に実装していく研究がおこなわれている、とのこと。将来研究職に就きたい生徒にはとてもわかりやすい説明でした。
最後に、後輩へ送る「学び方と挑戦のヒント」として、「ピカソも、バッハも、アインシュタインも、大量の作品、論文を書いて、その中のいくつかが成功しただけ。成功の裏には大量の失敗がある。タイパとか言う前に量をこなせ。結局、それが成功への近道だ」という熱いメッセージが送られました。人生の分岐点で努力を積み重ねながら、研究者としての道を切り開いて来られた宮本さんらしい、素晴らしいメッセージでした。


「タイパとか言う前に量をこなせ。結局、それが成功への近道だ」
名言ですね。苦労して苦労して、苦労した末に成果を得た人間にしか言えない言葉です。カッコいいです。講義の中で実験をしている時の表情も素敵です。熱中している人の表情です。中学生や高校生には、まだ、わからないかもしれませんが、社会に出て、自分がやりたいことを仕事にするって、並大抵のことではありません。三国丘高校の卒業生の中に、こんな笑顔を見せてくれる人がいること...それが、私の誇りです。三国丘高校での3年間が、宮本さんの生き方に少しでも貢献しているのなら、こんなに嬉しいことはありません。