卒業式で、思わず涙が溢れてしまいました...

 本日10時から、第76回卒業式がありました。コロナ禍の影響をモロに受けた76期生が三国丘高校を巣立っていきました。壇上に立って卒業生の答辞を聴いていると、思わず涙が溢れて止まらなくなりました。楽しかったこと、嬉しかったこと、辛かったこと、寂しかったこと...正直になれなかった自分、仲間に助けられた自分...語り尽くせない想い出が教えてくれた「感謝」の心。様々な経験を全部前向きに捉えていく卒業生の成長の軌跡が記憶の中の印象的なシーンと結びつき始めたら、頬に熱いものを感じました。答辞を聴きながら壇上で泣いている校長なんて見たことも聞いたこともないので流石に申し訳なくてハンカチで拭うこともできず、流れる涙をそのままに最後まで聴いていました。

 卒業式の式辞はいつも悩むのですが、今回は特に何を伝えれば良いのか悩み抜きました。それぞれに個性はありますが基本的には真面目で頑張り屋さんの三丘生たちが新たな学びを求めて卒業していくのですが、その後に待っている社会の荒波を考えた時、伝えなければいけない言葉は何か...と考えに考えた結果書き上げた式辞がこれです。少し長いですが、興味を持っていただけた方は読んでみてください。

 76期生のみなさん、卒業おめでとうございます。今日はみなさんの門出を祝うため、三丘同窓会・後援会とPTAからご来賓のご臨席をいただいております。お忙しい中お越しいただき、心から感謝を申しあげます。今日の卒業式は、極力、コロナ禍前の式典に近づけることを意識し、より多くの保護者の皆様にお越しいただけるようにいたしました。在校生を含め、ここにお集まりいただいたすべての皆様の温かい気持ちで76期生を送り出したいと思います。

 早速ですが、私からは、卒業生のみなさんに、魔法の言葉を贈ります。この言葉の効果をより深く感じてもらうために、まずは、高校生活を振り返ってもらいましょう。最初は、嬉しかったことや楽しかったことだけ思い出してください。合格発表、文化祭、体育祭、修学旅行...次から次へと思い浮かんでいるんじゃないでしょうか。次は、辛かったことや苦しかったことだけ思い出してください。受験勉強、人間関係...一つ浮かんだらだらどんどん連想しているのではないでしょうか。

 高校時代を振り返った感想はいかがですか。いろんなことがありましたよね。これがあなたの高校時代です。では、これから先はどうなると思っていますか?まさか、自分の未来には良いことしか起こらないんだ!と思っている人はいませんよね。逆に、こんな自分には悪いことしか起こらないに決まってると悲観している人はいませんか。直近のことを言うと、希望する大学に合格し意気揚々という人もいるでしょうし、正直言ってそんな明るい気分じゃないよ...という人もいると思います。

 既にみんなの三倍以上生きてきた人間として言います。ずっと調子の良い人生なんてあり得ません。それは幻想です。ずっと悪いことしか起こらない人生もありません。それも幻想です。「人生は山あり谷あり」です。ここまでわかっていただいた上で、そろそろ魔法の言葉を発表しましょう。「最後はハッピーエンド」 これが魔法の言葉です。

 人生の最後が山であろうと谷であろうと、自分の人生の最後はハッピーエンドだと決めてしまうのです。そうすると、どんなに辛いことがあってもその先に希望の光を見ることができます。どんなに苦しい時もその苦しさが永遠に続くものではないということを知っているからです。

 実際のところ、あなたがハッピーエンドかどうかなんて誰かに決めてもらうことではありません。決めるのは他の誰でもなくあなた自身です。だから「最後はハッピーエンド」と今から決めてしまったとしても何の不都合もないのです。

 そんなことを考えていたら、喜劇王チャップリンの言葉を思い出しました。「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見れば喜劇である」苦難の人生を歩んだチャップリンだけに味わい深い言葉ですが、もしかしたら彼は、自分の人生の最後はハッピーエンドだと決めていたのではないかと想像します。〈遠くから見た人生〉即ち「自分の人生の全体像」は喜劇だと言っているのですから、最後はハッピーエンドに決まっています。バッドエンドの喜劇など誰も観たくないからです。

 最後に一つだけ宿題が残りました。あなたにとって、幸せとは何でしょうか。自分にとっての幸せが何かわからなければ、ハッピーエンドを考えることもできません。私は教職しか知りませんので、生徒が笑顔になることが自分の幸せだと思って生きてきました。みなさんは何が幸せですか。それを明らかにしていくことがみなさんに課された宿題です。

 76期生のみなさんへの私からのメッセージは以上です。

 最後の最後に、もう一つだけ、とても大事なことを言います。よく聴いて忘れないようにしてください。何度も何度も「最後はハッピーエンド」という魔法の言葉を自分に言いきかせているのに、やっぱり辛い時、やりきれない思いが洪水を起こしてしまった時は、ここに帰ってきてください。三国丘高校はみなさんの「家」です。

 だから、76期生のみなさんを送り出す最後の一言はこれにしました。

 「いってらっしゃい」「元気でな」

 以下、卒業式の写真です。ご覧ください。