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教員が生徒の気持ちになって授業力向上研修を実施!教材は谷川俊太郎の詩「宿題」

 2月21日(水)、国語科の元指導教諭 吉澤先生を講師に招いて"三究会"という教員研修を行いました。今回のねらいは授業力の向上!教材は谷川俊太郎の詩「宿題」です。研修の形態はこの上なく実践的、要するに、参加した教員(私を含めて21人)が生徒として授業を受けるというスタイルでした。

 「宿題」    谷川俊太郎

 目をつぶっていると

 神様が見えた

 うす目をあいたら

 神様は見えなくなった

 はっきりと目をあいて

 神様は見えるか見えないか

 それが宿題

 授業が始まると、吉澤先生から早速質問が飛んできました。この詩をどう解釈するかということに関わる質問です。参加した先生が順番にあてられて自分の意見とその理由の説明を求められます。先生方の教科は様々です。吉澤先生は一人ひとりの発言を丁寧に聴いて纏め、板書していきます。そこで一旦ストップです。生徒の意見を短い文章に纏めるコツや全員分板書することの意味を解説してくれました。私の印象に残っているのは、出された意見を全部書く理由です。「自分が発言したことが黒板に書かれたら誰でも(生徒でも先生でも)嬉しいんですよ」「黒板に書くだけで生徒の目が輝き、授業に意欲的に取り組むことに繋がるんですよ」当たり前のように聞こえる話ですが、実際に自分の言ったことが文字になって黒板に書かれるとめちゃくちゃ嬉しかったです。小さなことかもしれませんが、生徒が主体的に授業に取り組めるようにする工夫をしているところで納得感がありました。

 続いて行われたのは投票です。みんなの意見を聴いた上で自分はどの意見に賛同するかという意思表明をします。板書された10人の意見のうち今の(すべての意見を聴いた後の)自分はどの意見に近いのか正直に手を挙げます。吉澤先生は挙手の数を数えて黒板に数字を書き出しました。

 結果が出たところで、吉澤先生から、さっきとは違った視点で新たな質問が飛んできて、それに対する生徒(生徒役の先生方)の意見発表がありました。今度はこれを受けてもう一度投票です。私も悩みに悩んで手を挙げました。すると、さっきとは明らかに違う投票結果が出たのです。

 こんな授業は初めて受けました。時間中ずっと何かを考えています。頭の中はフル回転です。意見を表明する直前にはペアやグループで意見交換する時間が設けられています。これぞまさにアクティブラーニングだと思いました。最後に、この研修(授業)を受けた先生方の感想からいくつかピックアップしてみます。

○ 考えさせる事の大切さを再認識しました。正解のある内容を教える教科でも役立つと思います

○ 「生徒が出した意見を絶対に否定しない」等とても勉強になりました

○ 生徒の気分を存分に感じることができた研修でした。この感覚を授業づくりに生かしたいです

○ 身をもって感じる、まさにアクティブラーニングを学ぶ研修でした

○ 授業の時間配分、生徒の意見の拾い方など他教科でも応用できるスキルがたくさんありました

 三国丘高校では、定期的に授業観察や教員研修をしています。授業力向上は本校にとって極めて重要なことであり、そのことが生徒の希望進路実現に直接関わってくるからです。府立高校では毎年、生徒を対象とした「授業アンケート」を実施しています。4点満点で評価するアンケートですが、去年度の教員の平均値は3.49、今年度は3.57と高い値を示しています。手前味噌ですが、先生方の意識の高さがこの結果に大きく影響していると考えています。3月11日の入試本番に向け最後まで頑張っている中学生のみなさんの期待にこたえるためにも授業力向上をめざします。