三丘セミナーは、夏と冬に行われる、選択制の講座です。今年は、夏に6講座、冬に7講座の合わせて13講座が用意されています。三国丘高校の合言葉は「ホンモノ」。ホンモノに触れさせる(出合わせる)教育を究極まで突き詰めます。この三丘セミナーは、まさにその代表です。各界から時代をリードする研究者や第一線で活躍するリーダーたちを招いて、ホンモノのお話を伺います。
冬の部の最初の講師は、関西学院大学総合政策学部教授の、道券 康充 先生です。先生は、今年の2月まで、国連職員(国際公務員)としてアフガニスタンで仕事をしておられました。
先生のお話は、まず、アフガニスタンという国を知ることから始まりました。2001年9月11日のアメリカ同時多発テロを契機としてアメリカ軍がアフガニスタンに侵攻し、アルカイダとの戦いが始まったこと、タリバン政権崩壊後は、アフガニスタンイスラム共和国ができたが、2021年のアメリカ軍撤退後に、タリバンが再び政権の座についたことなど、歴史のページをめくるように、臨場感あふれるお話をしていただきました。報道機関がアフガニスタンの現状を伝える映像もみせていただき、タリバン政権の政策により女性たちが外出を制限された結果、女性労働者が6%まで減少したことによる貧困など困難な状況も実感を持って理解することができました。
ジェンダーアパルトヘイトと国際社会の非難を受ける政策が次々と発表される中、国連はタリバン政権を認めていないため支援もできない状況が続き、そんな中でも、stay and delivery の方針のもとアフガニスタンに留まり人道支援を続けた国連職員の皆様の苦労や思いについて、語っていただきました。
アフガニスタンで起こっていることは、遠い異国の話だと捉えてしまいがちですが、道券先生のお話を聴かせていただき、それぞれの三丘生の心の中では、何らかの変化が起きているのではないかと思っています。将来、自分はどんなことで社会に貢献する人間になるのか...このことは、三丘生に限らず、すべての若者のテーマだと思います。先生との出逢いが、自分の進むべき方向を決めるきっかけになった人がいるかもしれないと思うと、「ホンモノ」に出逢うことの意義の大きさを確かめることができたように感じました。
