著作もたくさんありますので、科学に興味がある人なら知っているかもしれません。今回の三丘セミナーにお越しいただいたのは、佐伯 和人 先生(立命館大学教授、立命館大学宇宙地球探査研究センター長、立命館先進研究アカデミーRARAフェロー)です。子ども向けの本も書いておられますので、著作を読んだことがある三丘生や中学生もいると思います。「月はぼくらの宇宙船」「月探査の大研究」「世界はなぜ月をめざすのか」「月はすごい 資源・開発・移住」などです。
実は、今回の三丘セミナーは、南極教室でおなじみの本校生物科の山本 那由先生の紹介で実現しました。山本 那由先生が南極に行った時、同じ船(砕氷艦しらせ)に乗船していた研究者のお一人が佐伯先生だったというわけです。世界中を駆け巡り探査研究をしておられる佐伯先生のお話を、ぜひ三丘生にもしてほしいという、那由先生の強い思いが三丘セミナーとして実現しました。
視聴覚教室は超満員です。佐伯先生が話しはじめると、三丘生たちの目が一斉に輝きだしました。「月探査が増えているのはなぜだと思う?」「月に水が存在したらどんなことに役立つと思う?」次々と投げかけられる質問に、ざわめきが止まりません。月の水の活用法...答えは燃料だそうです。ロケットの重量の8割は燃料らしく、月で燃料が補給できたら、火星が近くなるそうです。
鉱物探査のためカメルーンに行かれた時の逸話も、とても面白かったです。二酸化炭素濃度を測る装置を開発した話から、蛇の肉を食べた話まで...一つひとつのエピソードがどれも興味をそそられるものばかりでした。
南極観測の話も良かったです。同じ南極の話でも、山本 那由先生の南極教室とは違った視点が新鮮でした。「ペンギンが野良猫のように歩いてる...」という発言で笑いを誘ってから、ペネトレーターという観測装置の話まで一気に盛り上がりました。ペネトレーターという装置を氷中深く打ち込むため、ヘリコプターから投下する様子の動画をみせてもらいました。足がすくむ感覚とともに、今も思い出せます。凄い映像でした。
何度も書きますが、若者にはホンモノをみせないとダメです。教育の、一番大きな役目は、ホンモノに出逢わせることだと思っています。自分の人生設計を仕上げている高校生などいるはずもありません。だからこそ、今が大事なのだと思います。今のうちにホンモノに触れて、大きな夢を持つことが、ほんとうの意味で楽しい人生を送る第一歩になると思うのです。そんな考え方に共感してくれる人は、三国丘高校で青春の3年間を送ってください。絶対に後悔することはないと思います。

