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〈三丘セミナー〉 子どもの頃の夢は「ノーベル賞」! 量子コンピュータ開発の最前線を行く研究者が高校生にエール

 量子コンピュータの開発の世界で世界の最先端を走っておられる先生にお越しいただきました。大阪大学量子情報・量子生命研究センター(以下QIQB)副センター長の、根来 誠 教授です。講演のテーマは、「今、量子コンピュータが熱い」。教頭先生がレポートを書いてくれたので、是非、読んでみてください。

根来先生は1983年岸和田生まれ。府立岸和田高等学校から大阪大学基礎工学部に進学され、子供の頃の夢に「ノーベル賞」と書いたこと、中学高校時代にインターネットやスマホが現れ「技術が生活を変える」ことを実感したことなどから研究者の道を選び、現在はQIQBにて量子コンピュータの開発で世界をリードしておられます。実は、大学入学後はアメフトに夢中でまったく勉強しなかったという根来先生。ゼミを選ぶ際、第8希望に書いた、当時は超マイナーだった「量子研究室」に決まったのですが、そこでの恩師との出会いが現在のご活躍へとつながったとのことでした。

 量子コンピュータは、1985年にアメリカの物理学者ファインマン博士によって初めて提案され、2014年にアメリカの物理学者マルティネス博士がその設計図を発表したことで、開発が急速に進みました。根来先生曰く、「なぜ今量子コンピュータが熱いのか?それは、超高速だから。」とのこと。ここで問題です。量子コンピュータの処理スピードはスーパーコンピュータの何倍でしょうか?答えは...約1030倍(2024年時点)。例えば、時速50kmで走っている車が、急に3倍の時速150kmで走り出したら、とても速いと感じますよね?では、その車が時速50km1030倍のスピードで走ったら?想像もできません。そんな、天文学的な速さで処理できるのが量子コンピュータなのです。そのような性質から、量子コンピュータはある特定のアルゴリズムで使用され、今我々が使っている古典コンピュータとは用途が異なるので、古典コンピュータがなくなることはないだろうとのことでした。

現在、GoogleIBM、リゲッティなどのベンチャー企業、中国等がしのぎを削って開発していますが、根来先生が所属する大阪大学のQIQBは世界最大で、専属研究者42名、大学で教鞭をとっている研究者もあわせると120名を超える規模で日々研究を進めているとのこと。また、QIQBは世界で唯一オープンソースで開発を進めているとのことで、世界中の人々と連携していらっしゃるそうです。現に、この日は三国丘高校での講義後、マレーシア、そしてシンガポールへ向かわれるとのことでした。

根来先生からは三丘生に次のようなメッセージをいただきました。「量子コンピュータはまだまだ発展途中で、大学院生の論文が世界中で引用されることもある。2050年ともいわれる実用化にむけて、若い研究者に来てほしい!大阪大学は三国丘高校出身の人が多いので、ぜひ入学して一緒に研究しましょう!」量子の世界に興味のある人はぜひ、阪大をめざして下さい!

 

 凄い先生にお越しいただきました。量子コンピュータの世界がこれからどうなっていくのか...私にはさっぱりわかりませんが、世界中の大企業や研究機関が覇権を争うように開発競争をしている様子が想像できます。そんな中、日本のQIQBだけがオープンソースで開発していると聞き、誇らしい気分になりました。大変な世界で戦うトップランナーにお越しいただいたことに心から感謝申しあげます。ご講演をいただいた上に、「一緒に研究しましょう」と言っていただいたのですから、これ以上嬉しいことはありません。この言葉が胸に響いた三丘生は必ずいると思います。夢は、動き出さないと叶わない!根来先生と一緒に、ノーベル賞をめざしてください。

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