2月24日(火曜)、肌寒く少し小雨の降る中、本校体育館で10時より第31期生の卒業式を行いました。
卒業式は、大阪府教育委員会の御代表、PTA・後援会・同窓会の役員の皆様、地域の自治連合会長、地元中学校の先生方、旧教職員の皆様ら多数の御臨席を得て、粛々と行われました。
国歌斉唱と校歌斉唱に続いて、校長式辞や、生徒会長による在校生の贈る言葉の後、卒業生の別れの言葉がありました。卒業する7人の生徒によって、映し出されるスライドを見ながら、卒業生の胸の内を率直に表現してくれました。たいへん感動的で、出席者からの感泣の涙も見られました。今年も、たいへんりっぱな、すばらしい卒業式であったと思います。
第31期生の皆さん、ご卒業おめでとう。
今年は例年より早く梅の花が咲き始め、校庭の梅の花も満開となっています。 春の訪れが間近に感じられる中、 本日、大阪府立堺西高等学校 第31回卒業式を挙行いたしましたところ、大阪府教育委員会のご代表を
はじめ、日頃よりご支援を賜りますPTA・後援会並びに紫友会のご代表、中学校の先生方、旧職員の皆さま、多数のご臨席を賜り、巣立ちゆく若人の門出を祝福していただきましたことに、厚くお礼を申し上げます。
卒業生は、ただ今卒業証書を授与いたしましたとおり、男子125名、女子132名、計257名でございます。昨年秋に創立30周年の記念式典を実施しましたがこの30年間に卒業した生徒は、1万3千人を超えることができました。
本日、ご多忙の中、ご参列いただきました保護者の皆様には、我が子の 成長された姿をご覧頂き、さぞかしお喜びのことと拝察し、心からお祝い申し上げます。
それぞれのご家庭においては、今日までさまざまなご苦労があったことでしょう。それらを乗り越え、我が子を支え、育まれたことに対しまして 敬意を表しますとともに、これまで本校にご協力、ご支援いただき、心より感謝申し上げます。
卒業生の皆さん、卒業おめでとう。私と皆さん方とは2年間の関わりでしたが、この間、皆さん方からたくさんの感動と喜びを得ました。
2年生のとき、一緒に行った沖縄宮古島の修学旅行では、美しい自然の中で、誰ひとり孤立させることなく、すばらしい仲間の輪を築きあげた皆さん方の姿勢に感動しました。3年生では、本校の最大のイベントである西高祭において、最高学年のリーダーとして後輩を導き、思う存分、その力を発揮し、すばらしい西高祭にしてくれました。本校の自主・自律の精神を育む という伝統の中で、皆さん方がりっぱに、大きく成長したことを大変うれしく感じました。
再び巡りくることのない青春の貴重な思い出として、大切にすべきことがたくさん得られたのではないでしょうか。これらは、これまで慈しみ、育んでこられた保護者やご家族の愛情、そして共に学び、励ましあった仲間の友情、また時には優しく、時には厳しく、教え導いてくれた先生方の支援、これら大勢の人に支えられたものであることを忘れてはなりません。
そして、本日、人生の節目となる卒業式を迎え、それぞれの道に羽ばたく日がやってきました。これから皆さん方が進む道は、決して楽なものではないでしょう。
現在の我が国は、世界的な景気後退により、経済はますます深刻な状況になり、これまでに経験したことのない、経済的にも、社会的にも大きな変化の波が押し寄せています。
これまで当たり前であったものが、そうではなくなり、立ち行かなくなるという状況がいろいろな場面で生じており、今はまさに変化・変革の時代となっています。このような状況は、歴史を振り返ったとき、幕末の激動の時代と似ているという学者もいます。幕末は、新たな国づくりをめざして、多くの若い人たちが活躍した時代でもあります。その中でも、山口県の萩に生まれた吉田松陰という人は、時代に対する優れた予見力をもち、明治維新の精神的指導者として大きな影響を与えました。彼は、我が国最初の首相となった伊藤博文を教えた人でもありました。
この吉田松蔭の有名な言葉に、「順境なる者は怠りやすく、逆境なる者は励みやすし、怠ればすなわち失い、励めばすなわち得るは、これ人の常なり。」というのがあります。人間は順調で恵まれているときは、ともすれば、努力を怠り、恵まれていないときは逆境に打ち勝つために努力するものである。努力しなければ失うものも大きく、励んで努力すると得るものも大きい。これが世の常であるというのです。皆さん、今の我が国はまさに逆境といわれる時代かも知れません。人間は苦しいとき、逆境の時にこそ チャンスが巡ってきている、そして努力することが大切であるということを、是非、忘れずにいてください。
皆さん方は、本校の教育方針に基づいて、この3年間に自分の将来や人生をじっくり考える力や、自発的に行動できる力を培ってこられたと思います。これからの社会の有り様や、皆さんの生きかたを考えると、既存の枠組みを尊重するだけではなく、新たな発想、創造性やチャレンジ精神を 大切にすべきときが来ました。このような自主性や創造的な精神は、吉田松蔭が述べた逆境の中で生き抜く力となるものです。本校で身につけたこれらの 力と、そして本校で成長したことを糧として、これからの厳しい社会に大きく羽ばたいて頂きたいと思います。
最後に、皆さんへ、私の好きなSMAPの歌「世界に一つだけの花」の歌詞を送りたいと思います。
「僕らも世界に一つだけの花、一人一人違う種を持つ、その花を咲かせることだけに一生懸命になればいい、小さい花や 大きな花 一つとして同じものはないからナンバーワンにならなくてもいい、もともと特別な Only one 」
この歌詞にある花は、皆さん方自身のことです。皆さん方は、世界の中でたった一人の存在であること、他と争うことなく、1番をめざす必要もない、お互いに一人ひとりの違いを認め、小さい花、大きな花のように、自分の良さ、他人の良さを大切にしてください。
皆さん方は、この世でオンリーワンの存在であると言うこと、そして皆さん一人ひとりは、この社会でなくてはならない大切な人であることを 忘れないでください。
ご卒業おめでとう。心から皆さんのお幸せを祈ります。
平成21年2月24日 大阪府立堺西高等学校長 紺野 昇