47 初午の日

 立春を過ぎると、寒い日と春めく日がめまぐるしく入れ替わる時期になってきます。まだまだ寒い日のほうが多いのですが、昨日あたりは抜けるような青空が広がって、風も穏やかだったので、日向(ひなた)ではポカポカとする陽気でした。梅でも寒梅の系統はすでに咲き始めています。

 2月のこの頃は本校では大きな行事もなく、落ち着いて勉学に、じっくりと部活に励む時期です。コロナ感染症もインフルエンザもその猛威に見舞われていないので、生徒の皆さんにはこういう時に腰をすえて実力を養成してほしいと思います。

 さて、昨日のニュースでは伏見稲荷の初午(はつうま)行事がとりあげられていました。この時期の年中行事では節分が親しまれていますが、稲荷社の初午はあまり知られていないようです。稲荷は「稲」の字が入っているように、お米の神様、いわゆる「穀神」です。春に田植えをした稲は秋に実ります。日本の考えでは、稲の神様は春に山から里に下りてきて、豊かな実りをもたらして、秋にはふたたび山に帰ります。春の早い時期に神は天上からまず山の頂に降臨する。稲荷の神が降りてきたのが初午の日だと言われているのです。

 初午の日には稲荷ずしを食べる風習があります。稲荷神の眷属(御使い)であるキツネの好物は油揚げになっています。本当は稲の害獣であるスズメやネズミがキツネの好物で、同時に退治の対象なのでしょうが、我々人間はこの時に油揚げにご飯をつめた稲荷ずしを食べることになっています。食べる数は三つ。一つめは「い」命を延ばす、二つめは「な」名を成す、三つめは「り」利益を得る、ということだそうです。毎年、初午の日は異なるのですが、今年は昨日2月5日が初午でした。ただし、稲荷ずしの協会が制定している「初午いなりの日」は毎年2月11日に決められているようです。

 稲荷社に行くとキツネの像がたくさんあります。何をくわえているか、よく見てみましょう。稲穂をくわえているのはわかりやすいですね。人々に稲の実りをもたらそうとしているわけです。巻物をくわえているのも農法をはじめとして必要な知識を授けようとしている、と何となく理解できます。しかし、玉(ぎょく)や鍵をくわえているのはなぜでしょうか。いろいろと説はあるようですが、よく言われるように玉は神の威力、徳力でしょう。鍵は蔵などの鍵で、貯え、蓄えを表していると思います。神徳と貯蓄の心を授けるということでしょう。

 寺社の眷属もよくみてみるとおもしろいのですが、大阪市内夕陽丘の大江神社に行くと眷属として「虎」がいる社があります。タイガースファンの聖地になっています。ちなみに大江神社には稲荷社もあるので、通常の狛犬、獅子に加えてキツネもいます。幟(のぼり)がない時には、イヌとライオンとトラとキツネをいっぺんに見ることができます。(何回もお参りしていますが、一度だけそろいぶみの状態を写真におさめることができました。)西高生の皆さんも、夕陽丘に行くことがあれば、見てみてください。すぐ隣には縁結びで有名な愛染さんがあります。

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