46 主体性のあり方 ~節分の行事2~

 早いもので、新年を迎えてからもう一月経ちました。これからはあと一月ほどすると府立高校などはもう卒業式シーズンになります。3年生は授業を終えています。世情騒がしい感じがしますが、教育活動は着実に歩みを進めていきます。

 今週は一度暖かい日がありましたが、今日は寒が戻っています。現代人は気温という数値のみで寒暖を云々します。はっきりしてわかりやすいからです。しかし、本当はその時の空模様、風の強さ、など総合的なイメージや状態で「今日は寒そうやで」とか「うわあ、思ったよりもぬくいなあ」などと感じているはずです。自分の感性感覚のほうが自分にとっては確かなもののはずなのに、外側の数値のほうを過信してしまうのはどうでしょうか。気温はあくまでも目安であって、まず自分が主体的にどう感じるかが大切ではないでしょうか。

 本校もそうですが、主体性を育てるというのは、学校教育の大きな目標です。自分の主体性とは何か、を考える上で少し考えさせられるテレビニュースを見ました。AI技術が進んで、返事や回答・解答を瞬時に考えてくれるようになってきているそうです。文章もこれまでのレベルよりは格段に人間が考えたものに近いようです。これを使えば、課題レポート、ひいては詩や小説などの文学作品も作成可能になるでしょう(ましてや、俳句や短歌などの短詩形はなおさらです)。これを計算機による計算と同じように思っておくかどうか。これからの文章コミュニケーションに大きな影響を与えそうな気がします。便利なようですが、課題問題点も噴出すると思います。

 さて、今日は節分です。前回、豆まきのことにふれました。今回は恵方巻について少し書いてみます。西高生の皆さんも多くの人が今日は恵方巻を食べると思いますが、以前は具材の数にもわりとこだわっていたのを知っているでしょうか。七つです。「七福神」にあやかってということのようです(具材も今は高級肉、マグロなどもありですごいですね)。では、方角はどうでしょうか。毎年毎年、細かく方角が異なる印象がありますが、実は「恵方」というのは四つしかありません。

 年には12の「支」と10の「干」があります。恵方と関係するのは「干」のほうです。「歳徳神(としとくじん)」という、陰陽道の、その年の縁起のいい神様がいる方角が恵方になります。この神様は「とんどさん」と呼ばれることもあります。「この「干」の時にはこの方角が恵方だ」と決まっています。たとえば、今年の十干は「癸(みずのと)」ですから「南南東」です。他に「辛(かのと)」「丙(ひのえ)」「戊(つちのえ)」の年が南南東になります。10個ある「干」を4つにカテゴライズしているわけです。

 ちなみに癸は「水の弟」なので「みずのと」です。「水の兄」は「みずのえ」で「壬」になります。木火土金水にそれぞれ兄と弟がいるわけです。十二支のほうは今でもなじみがあります。しかし、十干のほうはあまり使いませんから、ピンとこないかもしれません。還暦の60という数字は「支」の12と「干」の10の最小公倍数です。それで、暦が一巡して還るということです。「癸(みずのと)卯(う)」の年などと言うと、その年の個性がはっきりするような気がしませんか。超スマート社会になっても、心の豊かさと結びつくイメージ性を大切にすることを忘れないようにしたいものです。

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