第32回卒業証書授与式を挙行しました。

2月25日(木)穏やかな天候に恵まれ、普段は寒い体育館もこの日は朝からストーブ要らず。大勢の来賓の方々や保護者の皆さんが見守るなか、298名の三年生たちが立派に巣立っていきました。

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担任の先生たちが一人ひとりの名前を万感こめて読み上げていきます。

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卒業証書を授与される代表生徒たち。

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花束を贈っていただきました。

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在校生代表佐伯翼君(生徒会長)の送ることば。

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卒業生の別れのことばは5人の代表から。

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最後に「旅立ちの日」をみんなで歌って、花道を歩んでいきました。

私の当日の式辞は下に掲げるとおりです。

第三十二回 卒業証書授与式

式   辞

梅の花もほころび、空の色はずいぶん春めいてまいりました。

「散りぬとも香をだに残せ 梅の花 恋しき時の 思ひ出でにせむ」

『古今集』詠み人知らずの歌ですが、卒業したあとも、馥郁たる、また爽やかな香りを残していってもらいたいという気持ちで、32期生298名の皆さんに贈ります。卒業おめでとう。

皆さんが入学された三年前、今日も出席いただいております紺野前校長先生は、入学式の式辞の中で皆さんに一つだけ課題を与えられました。それは、本校の教育方針である「四つの精神」のひとつ「自主自律の精神」にちなんで、「自分を大切に、そして自分に厳しく生きよ」ということでした。また、自律した人となるために広い視野も持て、とも付け加えられました。

この課題に、皆さんはどう答えられたか、今日のこの式において心の中で自己採点してみてください。その反省と評価の上にたって、さていよいよ社会に巣立とうとする今、皆さんは次なる課題、次の目標をどのように設定されるでしょうか。

皆さんの成長とともに、二一世紀も十年目に入りました。対立と憎しみではなく、お互いの違いを認め合いつつ共に生きることのできる、平和で人権文化豊かな百年にしよう。これがこの世紀を迎える時の世界の合言葉でありました。

ところが、残念なことですが、二十世紀の負の遺産を引きずり、民族問題や宗教上の問題などによる対立と憎しみはなくなっていませんし、今なお戦禍にあえいでいる人々が大勢います。日本国内も、大変厳しい経済環境の中で、低成長を強いられ、若い人たちの雇用にも大きな不安が増大してきております。身近な地域社会や家庭のなかを見ても、親と子の関係をはじめとして、この社会に生きる大人たちがもう一度自分の生き方を見つめなおさねばならない時期が到来しているようです。たとえば、本年度、本校の図書室で一番よく貸し出された本は『獣の奏者』というファンタジーでした。人間どうしだけでなく、他の生き物や自然環境とも絆を回復したいという時代の雰囲気が、この本を読む人が多いというところにもあらわれているようです。

この時代に大人への、社会人への扉を叩いた皆さんに、今日、卒業にあたって、私も三つの課題を示したいと考えます。

一つは、人と人との関係性において、相手に「安心」を手渡すことのできる人になってほしいということです。

彼が、彼女が引き受けてくれたから大丈夫、精一杯の努力を必ずしてくれる。きちんと受け答えをしてくれる。そんな評価をまわりの大人や、パートナーとなる人や、将来生まれてくるであろう皆さんの子どもたちから得られる人になってほしいのです。

二つ目は、生涯学びつづける姿勢をもってほしいということです。

学校へ通うのは今日で終り、という人もいますが、知識と技能、ルール感覚、他者との関係づくりという点において、まだまだ学ばなければならないことが皆さんにはたくさんあります。職場や家庭の人間関係の中においても、一生学びつづける、ひとに教えてもらえるチカラを持ちつづけてほしいと思います。

三つ目は、自分の中にある夢の芽生えを大きく育てるためには「コトバ」のチカラが絶対に必要だということです。自分の中のモワッとした気持ちにカタチを与えるのは言葉です。自分の気持ちをまとめ、外に表現していく、その「コトバ」の訓練は学校を卒えたこれからも必要不可欠なことです。もっと言えば、言葉には、そのコトバを口にするまではそこになかったものを創り上げてしまう不思議なチカラがあります。皆さんも、自分の中のチカラを引き出すために夢のあるコトバを発しつづけてください。「気をつけよう 甘い言葉と暗い道」という標語がありますが、形容詞を入れ替えて「気をつけよう 暗い言葉と甘い道」としても一面の真実を衝いていると私は思います。コトバは大切です。明るい言葉を発して、道に迷うことがあっても、甘くない自分にとって困難な道を選べるようになってもらいたいと思います。

まず、今日は、皆さんを見守ってくれた方々に「ありがとう」と言ってみるところから始めてみましょう。

堺西高校は実に多くの方々に見守られています。来賓として参列いただいた大阪府教育委員会を始め、地域の小学校や中学校の先生方、PTA、NPO法人地域育成会、同窓会、そして学校協議会委員の方々からは、物心両面に渉る多大なご支援をいただきました。改めまして、お忙しいところを出席いただいたお礼も併せて、生徒たちへ注いでいただいた愛情に心より感謝申し上げます。

最後となりましたが、保護者の皆様方に置かれましては、この日を一日千秋の思いでお待ちになっておられたことと存じます。今日こうしてお子様のご卒業を迎えられ、これまでのご苦労を振り返られながら、喜びを噛み締めておられることと存じます。改めまして、お慶び申し上げ、式辞といたします。

平成二十二年二月二十五日

大阪府立堺西高等学校長

   島 﨑 英 夫

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