9月14日(水)の午後から、防災避難訓練を行いました。
5月は、火災を想定した訓練でしたが今回は、地震を想定しての訓練でした。
私からは、以下のような話をしました。
多くの人が共に生活する施設の避難訓練には、それぞれ目的があります。
例えば、高齢者の施設であれば、自分の力で逃げることのできないお年寄りの方の命をどうやって守るかということが一番の目的です。
また、幼稚園や小学校であれば、自分で判断ができない幼児や児童を、
先生方が、速やかに誘導して避難させることが目的です。
では、高校生の避難訓練の目的はどんなことになるのでしょうか?
確かに、避難経路や避難行動の確認は、目的の一つですが、高校生の皆さんは、「自分の命」を守るための判断や行動をする力を、十分に持っています。
むしろ、災害時には小さい子どもや高齢者を助ける立場です。
したがって、小学生と同じように、机の下にもぐったり、グラウンドに避難したりすることだけを目的にすると、緊張感の薄い避難訓練になってしまいます。
おそらく、それは、生徒だけでなく、先生方にとっても同じことです。
そういう意味では、今日の避難訓練を避難経路や避難行動の確認だけで終わるのではなく、この機会に、ここにいるみんなが、学校以外で発生した時も含め、災害に対する備えや取るべき行動について考えることが大切ではないかと思います。
例えば、地震による被害の8割は圧死だと言います。過去の大地震でも多くの人が家具の下敷きになり亡くなりました。皆さんが普段寝ている状態は大丈夫でしょうか?
また、USJのように、海に近くて、津波に遭いそうなところにいる時に、大地震が発生したら、すぐに高いところへ上るという行動が起こせるでしょうか?
また、エレベーターの中にいる時に、緊急速報メールが鳴ったら、全ての階のボタンをおして、エレベーターから降りることができるでしょうか?
このようなことは、知っていたとしても、いざパニック状態になると、行動することが、なかなか難しいかも知れません。
東日本大震災の時、岩手県釜石市の小中学校は、日頃からの約束通り、地震発生後、学校での集合や点呼をせず、それぞれが一目散に高台に上がり、その結果、学校にいた全ての生徒・児童が助かりました。このことは後に「釜石の奇跡」と呼ばれています。
しかし、宮城県石巻市の大川小学校では、避難方法が決まっていなかったため校庭で待機し、先生方が50分ほどの話し合いをしました。結果、高台に上ろうと移動を始めたものの、時すでに遅く、児童74名が津波により尊い命をなくしました。
地震災害は突然起こります。30年以内に80%近くの確率で起こると言われている南海トラフ大地震が、今起こっても不思議ではありません。
「備え」が、結果を大きく変えることもあります。なかなか、想定は難しいですが、「いつ自らに降りかかるかも知れない自分事」として考えてくことは大切だと思います。
最後になりますが、国と大阪府から、高校生に向けて「Jアラートによるミサイル発射情報に対するガイドライン」が示されました。
このあとGoogleclassroomで皆さんに発信をします。
現在、日本は平和な国なので、これも、なかなか自分事として捉えることは難しいと思います。
しかし、ロシアのウクライナ軍事侵攻も含め、世界情勢は決して緩やかとは言えない状況です。
実際、この8月に、中国から発射された弾道ミサイル5発が、日本の排他的経済水域に着弾したことは、皆さんの中もニュースで知っている人が多いと思います。
必要以上に動揺することはありませんが、このようなことも、頭の片隅にはおいておいてください。
自然災害や、人災で亡くなる人が、1人でも少なくなることを心から願っています。