新年が明け、3学期が始まりました。
3年生は、残すところ授業日が10日あまり。
いよいよ卒業に向けて総仕上げの時期です。
今日は、放送で始業式を行いました。
<以下、今日の挨拶です>
本来であれば、全国的に新しい年をお祝いする時期になりました。
ところが、皆さんも知っているように、現在、とても、そのような状況ではありません。
元旦の日の夕方、石川県能登半島を中心に「最大震度7」を記録する大きな地震がありました。地震の震度は0~7までの10段階に分かれていて、震度7は最も強い揺れであり、鉄筋コンクリートのビルが倒れるレベルです。
大阪も場所によれば、震度4を記録したので、皆さんの中にも、大きな揺れを感じ、不安な思いをした人がいると思います。
地震や津波による家屋の倒壊、さらに火災によって150名を超える多くの方々が亡くなりました。そして今もなお、行方が分からない方々が300人を超えています。
新しい年を迎え、お祝いをしていた多くの人たちが、一瞬にして奈落の底に突き落とされました。
そして、発生から1週間以上たった現在も、家を失い、行き場所のない多くの人が水や食料が十分でない中、避難所で生活をしています。避難所では食料が不足し、寒さが厳しい中、大変な思いをされています。
まずは、皆さんと共に、今回の震災で尊い命を落とされた方々に対して哀悼の意を表すとともに、被災地の一刻も早い復興をお祈りしたいと思います。
また同時に、この災害を「自分事」として捉え、「災害は、いつ、どこで起こるか、全くわからないものである」ということを改めて認識し、備えや発生時の対応について確認することが大切だと思います。
さて、前置きが長くなりましたが、そんな中、いよいよ3学期がはじまります。
3学期は1年の締めくくりであると同時に、来年度に繋がる大切な時期です。
いうなれば、「令和5年度の3学期」であると同時に「令和6年度の0学期」という位置づけです。
短い期間ではありますが、4月以降の自分にしっかりとバトンをつなぐ充実した日々にしてください。
また、3年生は進路実現へのチャレンジが本格的に始まります。何度も伝えているように、「第1志望の進路実現」に向けて、粘り強く、挑戦をしてください。
もちろん、合格を勝ち取ることが最大の目的であることは、いまさら言うまでもありませんが、決してそれだけではありません。結果はともあれ、夢に向かって全力を尽くした経験が、今後社会を生き抜く上での、大きな力と財産になることは間違いありません。
昨年11月、将棋界で史上初の8タイトルを独占した藤井聡太さんが、その返礼として「雲外蒼天」(うんがいそうてん)と書かれた将棋盤を送りました。
彼が選んだ「くも」、「そと」、「あおい」、「てん」と書くこの4字熟語は、文字通り読めば「雲の上は晴れ」という意味です。
つまり、「地上から見れば分厚い雲しか見えない時も、実は、その雲の向こうには、きれいな青空が広がっている。」ということを表した言葉です。
藤井さんは、子どもの頃から負けることが大嫌いで、自分を高めるための努力を惜しまない性格でした。彼にとっての「努力」とは喜びに近づくために、なくてはならないものであって、「苦痛」ではなく、むしろ「成長するためになくてはならない貴重な時間」でした。
夢を追い続けて目標を達成し、今もなおも努力を続ける彼の根底には、この「雲外蒼天」(うんがいそうてん)という考え方が大きく影響しています。
このような考え方は「成長する人」に共通しています。
なかなか成長できない人は、何か課題を見つけた時に「これを乗り越えるのは労力が大きい」といった負担感や、それに対する不満が先に立ちます。
ところが、成長する人は、「課題を乗り越えるためには何をどうすれば良いか」という手段を考えます。
ここが根本的に違うところです。
メジャーで活躍する大谷選手の言葉を紹介します。
『どうしてできないんだろうと思うことはあっても、「これは無理」、「できない」と考えたことは一度もありません。今は難しくても、そのうち乗り越えられる、もっともっと良くなるための練習は楽しかったです。』
もちろん、大谷選手が超一流の選手になれたのは、たぐいまれな能力が備わっているからです。しかし、この考え方があるからこそ、その資質が開花したのだと思います。
人生、山あり谷あり。皆さんもこの1年、いろんなことが起こるはずです。
悩みや課題にぶつかった時、おそらく、皆さんの頭の上には分厚い雲がかっています。ただ、そんな時も、雲の先には間違いなく青い空が広がっているんです。
粘り強く努力し、雲を突き破って、その先にある景色を手に入れてください。
今年1年が皆さんにとって、大きく成長する1年になることを期待して、3学期初めの挨拶とします。