入学式 式辞

草木も芽吹き、すがすがしい春の風が吹き抜けていく今日の佳き日に、大阪府立佐野工科高等学校 入学式を挙行できますことは、私ども教職員にとりましてもこの上ない喜びであり、心より感謝申し上げます。

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。 そして、お子様の晴れの日を迎えられた保護者ならびにご家族の皆様に、心よりお祝いを申し上げます。

本校は、今年101年めを迎える伝統と実績のある工科高校です。本校では、希望をもって入学した生徒たちが、お互いの違いを認め合いながら、それぞれの夢や目標に向かって学校生活を送っています。

今日から皆さんは、この工科高校という「未来を切り拓く者」が集まる場所の一員となりました。皆さんの入学を、心から歓迎します。

私たちの学校は、単に知識を覚える場所ではありません。自分の手で素材に触れ、火花を散らし、まだこの世にない価値を形にする「ものづくりの最前線」です。これからの三年間は、皆さんが「一生モノの技術」を身につけるとともに、社会を支える人材へと成長していく大切な時間です。

新しい門出にあたり、校長として大切にしてほしい「三つのこと」をお話しします。

一つめ、ここを「みなさんにとって安心できる居場所」にする。新しい制服に身を包み、今は期待よりも不安が大きいかもしれません。「自分にできるだろうか」「仲間とうまくやっていけるだろうか」。そう思うのは、皆さんが新しい生活に真剣である証拠です。

まずは安心してください。この学校は、皆さんが失敗を恐れずに挑戦するための「チャレンジの場」です。実習でうまくいかないことがあっても、自分を責める必要はありません。それは「次はこうすれば上手くいく」という貴重なデータの「発見」です。

私たち教職員や先輩は、皆さんの背中を押し、共に考えるためにいます。困ったときは一人で抱え込まず、誰かを頼ってください。お互いの弱さを認め、助け合える。そんな「優しさ」にあふれた居場所を、皆さんと共に築いていきたいと思っています。

二つめ、「ルール」という名の、温かな思いやりをもつ。工科高校では、「時間」と「ルール」を厳格に守ることを求めます。これには理由があります。現場での一瞬の油断や手順の省略は、自分や仲間の命を危険にさらすことに直結するからです。また、時間を守る習慣は、言葉以上に「私はあなたを尊重しています」という信頼のメッセージになります。

指導が厳しく感じることもあるかもしれません。しかし、その裏には「教え子を絶対に傷つけたくない」「社会で堂々と渡り合ってほしい」という、先生方の真っ直ぐな愛情が隠れています。「ルールを守る」ことは皆さんを縛ることではなく、自由な発想を形にするための「安全な土台」です。ルールを「相手への思いやり」と捉えたとき、皆さんの技術は、人々に安心を与える「力」へと変わります。

三つめ、最新技術を使いこなし、最後は「心」で仕上げる。今、生成AIなどの技術は驚異的なスピードで進化しています。皆さんが活躍する未来は、想像もつかない姿になっているかもしれません。しかし、どれほど便利な道具が生まれても、最後に「何を、誰のために、どんな思いで作るのか」を決めるのは、機械ではなく、人間である皆さん自身です。

冷たい金属に命を吹き込み、使う人を笑顔にする。誰かの「困った」を解決するために知恵を絞る。それは、人間にしかできない仕事です。技術を賢く使いながらも、仲間の痛みを感じ、美しいものに感動できる。そんな「人間らしさ」を、この三年間で磨き上げていってください。

保護者の皆さま、ご家族の皆様、ご入学、誠におめでとうございます。生徒の皆さんの夢や希望の実現に向けて、教職員一同、安全を第一に、全力で教育活動を進めてまいります。どうか本校の教育活動に、ご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

むすびに、希望あふれる皆さんの前途を、心からお祝いするとともに、ご列席のみなさまのご多幸をお祈り申し上げ、式辞といたします。