枚方支援学校では、キャリア教育の視点を取り入れ、「自分=理解」「つながり=コミュニケーション」「チャレンジ=考動」を日々の実践で大切にしています。 今回は「チャレンジ=考動」の中から、「やりきる力 ~自分で目標を設定し、活動を始める。自分で決めたことに責任をもつ。~」に着目した取り組みを紹介します。
高等部「職業Ⅲ」の授業では、卒業後の進路を意識し、多くの福祉事業所で展開されている軽作業を取り入れ、本授業では、「タオルたたみ」「アイススティック数え」「ファイリング」の3つの作業を柱に取り組んでいます。
普段の授業の雰囲気よりもメリハリを持たせ、働くために必要な力である、「仕事に対する姿勢」「コミュニケーションスキル」「集中力や持続力」「協調性」などを伸ばし、卒業後の進路決定につなげるきっかけになれば良いと考え、福祉事業所をイメージできるような授業を展開しています。
本授業を通して自分自身の「課題を知ること」「力量を知ること」「得意不得意を知ること」ができればと考え、オリジナルの「作業目標設定シート」(以下の写真)を使用しています。
「作業目標設定シート」は、今日の作業内容や自身が目標とする数、そして達成した数がどの生徒にもわかりやすく、把握できるように工夫されており、個人用(左上)、グループ用(左下)、掲示用(右)の3種類が用意されています。
仕事や作業において、目標を持って課題に取り組むことは、大切なことであると考えます。何も考えずに作業を行うよりも自分で目標を持って課題に取り組むことで、次の課題が明確になり、自分自身の成長につながっていきます。小さな積み重ねが、自身の成果に結びついた時に「達成感」や「向上心」などにつながると自分自身の経験や生徒たちを見ていて感じます。
私は、「自分の目標を設定する」ということは、「自分との約束」であると考えます。目標というものは、単に設定すればよいというものではなく、「自分自身で成し遂げられると考える最大限」を自分自身で宣言したものであると思います。それほど目標というものは重要であり、軽々しく宣言したり扱ったりするようなものではありません。目標を設定するということは、自分自身に約束事を課したものであると考えています。
「作業目標設定シート」は、とてもシンプルで「作業内容」「目標の数」「できた数」の3つで構成されています。授業を展開していく中で、作業の振り返りや自分の感想を文章に書き出したり、発言したりすることが苦手な生徒もこれまでにたくさんいました。その際、どのようにして生徒たちが授業を振り返ることができるのかと考えた時に、「数」に着目すればどうかと思いました。生徒の発達段階として数字の大小の理解ができる生徒が多かったこともあり、このシートを考案しました。自分が設定した目標の数に対して、できた数を比較できるので数学的な要素も含んでいます。「作業目標設定シート」は生徒の誰もが扱いやすいように工夫しています。
「作業目標設定シート」を活用してから、生徒たちは自分で設定した目標の数を意識して、作業に取り組むことができるようになりました。「目標数を達成するために作業のスピードを上げる!テンポよく!」、「〇〇さんをめざしてがんばりたい!」と前向きな発言が出るようになりました。また、発言の少ない生徒でも目標の数を高く設定して、最後までコツコツと努力する姿勢が見られました。
これからも、この「作業目標設定シート」を活用し、「自分との約束」を果たすために最後まで責任を持って課題を成し遂げられるように生徒を支援していきたいと思います。