本日、5限と6限の間に防災避難訓練を実施しました。今回は通常の避難経路の一部が損壊し、他の経路を通ったり、負傷した生徒を助けながら避難したりと、少しでも実際の場面を想定して行われました。
発災後、事務室前に対策本部を設置し、分担して避難経路の確認を行います。その間、生徒たちは教室で机の下に入るなどして待機しています。今回は生徒指導室で火災が発生、また、通行できない階段が生じ、定められた避難経路と異なる経路でグラウンドに出る訓練をしました。
グラウンドで全ての生徒と教職員の安否確認ができたのは、想定していたよりも数分長く時間がかかり、発災後30分経過していました。
保健部長の東先生の指示で生徒たちは教室へ戻っていきました。そして、私から放送にて講評を行いました。その時に話したことを掲載しておきます。訓練はより最悪の事態を考えて実践することが大切です。
「皆さんこんにちは。校長から今回の訓練にあたり、5分の時間をいただきお話しいたします。
はじめに、今年1月1日の能登半島地震により、被害に遭われました方々にお見舞い申しあげますとともに、一日も早い復旧・復興をお祈り申しあげます。今回の訓練は、2011年3月に発生した東日本大震災を引き起こしたプレート境界型の巨大地震が、南海トラフで発生した時の適切な避難行動について、皆さんの一人ひとりが学ぶことと、私たち教職員が迅速かつ的確で安全な避難誘導を行うための訓練を目的としています。今から話すことは、昨年も話しましたが、今一度、客観的に受け止め、そして、自分事としてよく考えてください。
政府の地震調査委員会では、南海トラフ地震については、マグニチュード8から9クラスの地震が30年以内に発生する確率が70%から80%とされています。すなわち、皆さんが50歳になるまでに、南海地震が起きないより起きる可能性のほうが十分に高いということです。言い換えると、30年後の皆さんは、おそらく南海地震を経験し、相当な困難を乗り越えて生きているということです。
その根拠として、地層や古文書等の調査・研究により明らかになっている3点について話します。
(1)南海トラフでは過去1,400年間に約90年から150年の間隔で大地震が発生していること
(2)前回発生した1944年の昭和東南海地震や1946年の昭和南海地震が発生してから、すでに80年近
く経過していること
(3)さらに詳しい調査・研究により、次の地震までの間隔が約90年と予測されていること
仮に地震調査委員会の予測通りとすれば、次の南海地震は1946年の約90年後の2036年頃に発生することになります。これは僅か十数年後、皆さんが30歳になろうかという頃です。あるいは、例えば予測の幅を±10年とすれば、今すぐに起きても不思議はない事になってしまいます。もはや、私達教職員も含めて自分事として今回の避難訓練を受け止めざるを得ないのです。
南海地震が発生すると、大阪の震度は6強、そして約90分後に大津波が町を飲み込みながら今宮高校の正門前まで押し寄せてきます。この時、皆さんはどこにいるのでしょう。また、「この時」とはいつなのでしょう。昼か夜か、夏や冬か。もちろん、電気もガスも水道も使えなくなります。今回は今宮高校にいるときに発生した場合の訓練をしました。今回の訓練で最も重要なのは、校内にいるすべての人の安否確認を一刻も早く完了することです。何故かはわかりますね。
自分はどう行動するべきか。今できることは、地震が起きる前に、どんな備えをすればよいのかについて考え行動することです。ここからは、皆さん自身が自分事として考えて、行動してください。考えるポイントは、できるだけ想像力を膨らませ、「想定外を想定内に入れること」だと言われています。まずは、自分のいのちを守ることを最優先してください。次に周りの人のいのちを助けてください。そして、町が無残に破壊され、悲しくて辛くて苦しくても、希望をもって前に進んでほしいと願っています。
最後に、ここにいる私達みんなは、このような大きな災害や困難にくじけず、たくましく乗り越えてきた人々の子孫であるという事実、だから、私たちもこれからやってくる困難を乗り越えることができると自信を持っていてほしいことをお伝えし、私からの話を終わります。」(5分)