シリーズ授業㊽~3年「古典探究」・韓非子

 11/18(月)6時間めは、3年「古典探究」の授業を見学しました。テーマは韓非子、担当は谷名先生です。

 はじめに韓非子の人物について、孔子、孟子、荀子の思想と対比しながら話されました。儒教の開祖である孔子は、国を治めるのに必要なのは「仁」(真心と思いやり)であると説き、約400年後に弟子達によって「論語」にまとめられました。孟子は「仁」に「義」(事物を適切に扱うこと)を加えて、重要であると説きました。孔子も孟子も、人は皆、生まれながらにして持つ「仁」を大切にすることによって国を治めることができると説いた点において「性善説」と言われているのに対して、荀子は、「性悪説」の考えに基づき、君子になるには「礼」を重んじることが肝要であると説きました。荀子の弟子であった韓非子は、さらに「法」にフォーカスし、倫理観や道徳観を一切排除した徹底的な法治思想を説いたと、話されました。「信賞必罰」(良いことをすると褒め、悪いことをすると罰する)を徹底した韓非子は、ここではどのような内容が書かれているのでしょう。題材は「侵官之害」、生徒たちはまず書き下し文を参考に返り点をつける演習を行います。

 昔者、韓昭候酔而寝。典冠者見君之寒也、故加衣於君之上。覚寝而説、問左右曰、「誰加衣者。」左右対曰、「典冠。」君因兼罪典衣与典冠。

 其罪典衣、以為失其事也。其罪典冠以為越其職也。非不悪寒也。以為、侵官之害、甚於寒。故明主之畜臣、臣不得越官而有功、不得陳言而不当。越官則死、不当則罪。

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 漢文のままでは、なかなか読みづらいですね。こうして漢文を書いてみると、返り点の有り難さがよく分かります。その点、教科書は返り点がつけられているので、ほとんど間違えることなく書き下し文に書き換えることができます。

 今回は、書き下し文を見ながら返り点をつける演習です。以前に学習した返り点がきちんと定着しているか一人ひとり自分で確認する機会を与えられたようです。指名された生徒たちが前に出て一文ずつ返り点を付けていました。

 さて、本文は、なかなかハードな内容が記されています。君主が酔っ払って居眠りしているのを見て、典冠(冠を管理する人)がそっと衣を羽織らせたのですが、君主は、自分の衣を管理する典衣だけでなく、君主の体調を思って衣を着せた典冠までもが極刑に処せられたと書かれてあります。

 なるほど「法」を大切にするとは、こういうことなのですね。それほど国と国との争いが多く、緊張を緩めることが難しいほど大変な時代だったのでしょう。

 その後、本文の読解を始めました。「而」や「於」等の「置き字」の扱いも復習し、生徒たちはよく頑張っていました。勉強になりました。有難うございました。