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手術室入ったことありますか?阪大医学部体験で三丘生ならではの貴重な経験!

 この歳ですので、自分が手術室に入ったことはありますが、当然麻酔が効いていましたから、どんな部屋だったかどんな空気感だったか全然覚えていません。テレビのドラマで手術室のシーンを見たことがありますが、私の中では、常に切迫した緊張感がはりつめるあの感じが手術室のイメージでした。

 そんな私が(勿論三丘生と一緒に)手術室に入ったんです。一瞬、体中の筋肉が収縮したように感じました。貴重な経験をご提供いただいた阪大医学部体験に生徒を引率してくれた岡先生(新任)が一文を寄せてくれたので、まず読んでみてください。

1224()、阪大医学部ツアーでは大きく3つ、とてもとても貴重な体験をさせていただくことができました。

1つ目は「手術室見学」です。普段ドラマなどでしか見ることのない手術室、その現場に入れていただいたのです。もちろん「空の手術室」にではなく、「今まさに目の前で手術が行われているその場に」です。普段の生活では絶対に入ることのない現場、画面越しでしか見ることのない現場に居られること、実際にこの上なくリアルな手術の現場を目の当たりにできることは、将来医者の道を目指す生徒たちにとってこの上なく大きな刺激になったと思います。

2つ目は「医療体験」です。医学部生が実際に練習で行う、内視鏡のシミュレーションをさせていただきました。シミュレーションとはいえ、使う道具は実際に現場で使われるものです。それを用いた実践的な学びには生徒たちも興味津々でした。慣れない内視鏡の操作をわが校の卒業生でもある医師の先生方に教わりながら、懸命に取り組むその姿からは生徒たちのやる気や真剣さをひしひしと感じることができました。

最後に3つ目は「医師の先生方との対談」です。日ごろから疑問に思っていることや、将来のために聞いておきたいことなど、生徒の質問に対して、先生方に赤裸々に生の現場の様子を語っていただけました。対談後に先生方のおっしゃっていた「新たな病気は次々と生まれてくるし、「病気」というものがなくなることは決して無い。でもそれを1つでも減らせるように、1人でも救えるように我々は日々研究を続けていくんだ。」というセリフがとても印象的でした。

以上3つの大変貴重な体験をさせていただいたのですが、18時に全予定が終了した後も、ご厚意で延長して医療体験などをさせていただきました。生徒たちも夢に向かって大いに刺激を受けたと思います。大変貴重な機会を与えていただいて感謝の気持ちでいっぱいでした。

読んでもらったように、見学させていただいた手術室はまさに手術中でした。さすがに、手術室の中の写真は撮れませんでしたが、医療体験等当日の様子がよくわかる写真がいくつかあります。ご覧ください。

 私は、この企画を題材にさせていただき、今日の3学期始業式の式辞で、全校生徒に向けてこんな話をしました。ご一読ください。

 いきなりですが、ドラえもんは好きですか?
 お正月から本屋さんをぶらぶらしてると「ドラえもんで哲学する」という文庫本を見つけました。読んでみるとこれが面白くて、一気に読んでしまいました。
 その中に、こんな話が出ていました。
 のび太は、ある日ジャイアンから「お前の野球が下手だから勝てないんだよ。もっと練習しろよ!」と言われます。
 困ったのび太は、いつものようにドラえもんに相談しました。
 「しょうがないなぁ...」と言いながらドラえもんが四次元ポケットから取り出したのは"進路アドバイザー"という道具です。
 のび太が表に出て"進路アドバイザー"に、自分が進むべき道を尋ねると、"進路アドバイザー"はカタカタと音を立てながら「右」と言います。のび太が右に進むんでしばらくすると今度は「左」と言います。
 言われるままに進んでいると、のび太は、凄く野球が上手な子に出逢います。"進路アドバイザー"が出した答えは、この子をスカウトするということだったんです。
 のび太自身の野球が急に上手くなる何かに出逢うのかなぁと思いながら読み進めていたので拍子抜けでしたが、職業柄「進路」という言葉に引っ掛かってしまってちょっと考え込みました。
 この本の著者は、このエピソードが示す哲学として「人生の進路は、体を使って移動することで見えてくる」と結論づけています。
 確かに、四次元ポケットから出てくる道具は未来の道具なので、想像を超えたことができます。"進路アドバイザー"がのび太の目の前にいきなり野球が上手な子を出現させても良かったのに、のび太を移動させるというステップを踏んだことには意味があるような気がします。
 そんなことをぼんやり考えていると、ほんの2週間前のリアルなシーンが目の前に突然浮かんできました。病院の手術室に入ったシーンです。
 施術台の上に横たわっているのは高齢の女性です。医師が2人、この患者の腹腔内に挿入された長い棒状の器具を操って作業をしています。大きなモニターに映っていたのは腹腔内で2本の棒状の器具が動き回り、先端に付いたハサミのような部分が、まるで指のように自在に動く様子です。
 少しのぞき込んだら患者さんのお腹の皮膚が見えました。パンパンに膨らんでいます。
 手術中なので患者さんは麻酔で眠っています。意識がないことがわかっていても、思わず、苦しそう...と思ってしまうくらい膨らんでいました。
 2人の医師の周りには看護師さんたちが10人近くいて、忙しく動き回っています。
 今日は令和6年12月24日。ここは、大阪大学病院の手術室です。
 医師になることをめざしている8人の三丘生が臨んだ医学部体験の一コマです。
 医師にとってまさに真剣勝負の場である手術現場を高校生が見学するなんて、考えられないことです。こんなことをしてくれる病院は極めて稀ですし、こんなことを希望し実現できる高校はほぼ皆無です。
 三国丘高校を卒業後医学部医学科に進学し、現在、大阪大学病院に勤務している医師のみなさんの母校愛が為せる業です。
 ともかく、実際に手術をしている手術室に入ることなんて、まず考えられないことです。卒業生の思いや学校や生徒の希望が合致した上で、この企画に関わる多くの関係者の理解がなければ実現しないことです。こんな稀有な経験をした生徒の立場から言えば、この医学部体験に参加することを決心し、実際に、自分の体と心を動かして参加しないとあり得なかった経験です。
 ドラえもんが示したこのエピソードの哲学は「人生の進路は、体を使って移動することで見えてくる」ですので、知ってか知らずか、この8人は夢に向かって"進路アドバイザー"の指示に従ったことになります。 
 3学期はとても短いです。終われば1つずつ学年が進みます。
 自分が進むべき道を探すのが高校生の仕事なら、騙されたつもりで、今日を契機にして3学期が終わるまで自分の中にいる"進路アドバイザー"の指示に従ってみてください。「右」でも「左」でも、まず体を動かさないと自分の進むべき進路は見えません。
 一方、3年生はみんなもう自分で動き出しています。夢を叶えるための道筋は見えています。自分の中にいる"進路アドバイザー"の言葉を思い出してください。しんどいからこそみんなが同じ思いを共有していることを思い出して走り切りましょう。
3学期が、三丘生全員の人生にとって意義深い時間になることを願って挨拶とします。

 最後に、中学生のみなさんに向けて少しだけお話しさせてください。高校選びって買い物とは違うと思うんです。買ったら自動的にメリットがついてくるものではない...極端なことを言えば、たとえ、その高校を一番で卒業したとしても、そのことに意味はないと思うんです。自分自身がちゃんと方向性を決めて、どれだけ前向きに動けるかが勝負です。ネームバリューや通学の便など何となく高校を選び、将来の夢も構想もないままに有名大学に進学する人がいるとすれば、私は、その人を羨ましいとは思いません。中学生のみなさんが、自分で、高校生活を想像してワクワクするような学校を選んでください。三国丘高校は、みなさんにワクワクしてもらえる学校であり続けたいと思っています。

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