ソフトテニス部の顧問が、校長室に来てくれた時、思わず口から出てきた言葉は「三丘スピリッツ」でした。中学時代に実績のある選手が集まっているわけでもない、十分な施設があるわけでもない、午後6時には完全下校という、他校より厳しい時間的な制約がある中、恵まれた環境で優秀な選手が常に専門的な指導を受けている強豪私学を破って近畿大会に出場したんです。こんな、魔法のようなことを実現できるのは「三丘スピリッツ」しかありません。
顧問によると、男子も女子も、練習内容は基本的に生徒が考えるそうです。外部コーチはついてくださっていますが、指導していただける日数は限られています。三丘スピリッツの一つである「自主自立」とは、生徒が自分の頭で考えて行動することを言います。想像に過ぎませんが、今回対戦した私学のソフトテニス部の練習時間と、三国丘高校ソフトテニス部の練習時間を比べたら大きな差があると思います。みんなに平等に24時間しかない1日の中で、部活動に使える時間はほんの少しだけです。勉強もしなければいけないし、学校行事も探究活動も忙しい。部活動に使える時間を増やしてくれと言うのは簡単だけれど、それを言わずに自分たちの創意工夫で乗り越える知恵を兼ね備えているのが三丘生です。三丘スピリッツに謳われている、真の「文武両道」を実践したからこそ、自分たちの目標(夢)を達成することができたのだと思います。三丘生は、運動系、文科系を問わず、ソフトテニス部をモデルとして、自クラブの活動の在り方を見直すことを検討してほしいと思います。自分たちで考えた練習を自分たちの意思で行うことが、部活動の本来の姿です。
男女ともに予選を勝ち上がって本選に臨みました。まずは、男子の試合から振り返ります。本当は、相手校の学校名を書いた方がわかってもらいやすいのですが、スポーツには勝敗がつきものです。どんなに練習をしても、どんなに頑張っても、時の運というものもついて回ります。勝者も敗者も仲間であるならば、このブログでは、学校名を書くことは避けようと決めました。
男子の初戦は、強豪と言われる私立高校でした。下馬評はたぶん相手に分があったのだと思います。ダブルス3試合のうち2試合を制したチームが勝利するというルールで行われたこの試合では、オーダーが勝敗に大きな影響を与えます。1対1で迎えた最後の対戦はもつれましたが、最後に勝利の女神が微笑んだのは三国丘でした。どちらが勝ってもおかしくない好ゲームだったことは確かです。
2戦めは、近畿大会常連の公立高校です。苦手意識が出てしまったのか、0対3の完敗でした。その結果、敗者復活戦にまわり、迎えた最後の試合は、勝てば近畿大会、負ければ3年生の引退試合になる瀬戸際の戦いです。相手は、誰もが知る私学の強豪校です。相当のプレッシャーがあったと思いますが、三国丘高校は冷静でした。またも接戦をものにして近畿大会出場を決めました。
女子の初戦は、公立高校に3対0の圧勝で、良い滑り出しを見せてくれました。続く2戦めは、大阪の高校ソフトテニス界を代表するような学校のひとつとの対戦です。自分たちとは全く違う環境で練習をする私学のソフトテニス部に挑戦する気持ちでぶつかりましたが、1対2の惜敗を喫してしまいました。そんな時も冷静に自分たちを見つめなおし、前を向くのが三丘生です。男子と同様、瀬戸際の場面で迎えた強豪私学に2対0で完勝し、近畿大会への切符を手にしました。
中学生のみなさん。もう一度「文武両道」の意味を見直してください。多くの高校が、校訓に「文武両道」を掲げていますが、単純に「文」=学力、「武」=運動部活動実績、と考えたとき、凄く勉強ができて難関大学に合格する生徒もいるし、スポーツに優れ卒業後にプロになる生徒もいる、という学校を文武両道の学校とは言わないと、私は思います。今日ご紹介したソフトテニス部員のように、勉強も頑張っているし、部活動も(学校行事も探究活動も)頑張っている人がたくさんいる学校を、文武両道の学校と呼ぶんだと思います。みなさん、どう思いますか?
10年後、20年後の世界を想像した時、真の文武両道を極めた人がリーダーになってくれたら安心だと思いませんか?それこそが、三国丘高校が掲げる「真のグローバルリーダーの育成」なのです。ソフトテニスのことだけを言っているのではありません。三国丘高校を良く思ってもらおうと思っているのでもありません。このブログで紹介するような三丘生(三国丘高校の生徒)に憧れを持ってもらえたら嬉しいと思っているのです。それが、多くの中学生のやる気に火をつけて、1年後、2年後に、三国丘高校で逢えたら最高です。待っています。