昨日、三国丘高校体育館で、女子バレーボール春季大会二次予選会が開催されました。私は、朝からずっと、選手たちの活躍を追い続けました。まずは、写真をご覧ください。
1回戦は、三国丘高校と同じ1部に属する私立高校との対戦でした。序盤は一進一退の展開でしたが、サーブで相手を崩し、徐々にこちらのペースで試合が進むようになりました。ピンチの時もありましたが、みんなで声を掛け合って凌ぐ姿が印象的でした。私なりに気づいたことがあります。それは、ミスをおかした選手が表情を変えないことです。普通なら、「失敗した」とか「申し訳ない」といった表情になってもおかしくないと思うのですが、後ろ向きな表情を一度も見せませんでした。他のチームの試合なら、多くの選手が表情を変えるのに、それが全くありません。チームによっては、監督が大きな声を出して指示を出しているシーンがありましたが、それもありません。辻本監督のジェスチャーを見ていると、プレーについて評価するのではなく、次のプレーのためのアドバイスを端的にしているように見えます。ミスをしても改善すれば良いという共通認識があるから、表情を変える必要もないということかと思いました。すべては、目的に向かっているように感じました。結果は2対0のストレート勝ちとなり、危なげなく2回戦に進みました。
2回戦は、公立高校対決となりました。下の写真をご覧ください。保護者は勿論、この日登校していた他クラブの生徒たちも集まってくれて、大盛況です。得点するたびに、拍手とメガホンを叩く音が響いていました。
3回戦は、この日の決勝戦です。相手は、強豪の私立高校。見るからに強そうでした。選手たちがコートの外に一列に並んで挨拶をした瞬間に気づきました。体格が違います。大人と子どもと言えば言い過ぎかもしれませんが、特に背番号7番と8番の選手は明らかでした。ジャンプしなくてもネットの上に手のひらが出るんじゃないかと思うくらい高身長でした。
相手は、角度のあるスパイクをバンバン打ってきます。三国丘は、どこにも負けないレシーブ力で拾いまくってチャンスを作りますが、なかなか得点に繋がらない状況が続きました。特に7番や8番が前衛にいるときは、他のチームには見られなかったクイック攻撃も仕掛けてきます。点差は広がっていきますが、表情は明るいままです。三国丘チームの選手も監督も誰一人として表情を変える者はいません。諦めない気持ちが心地よい緊張感を伴って6人を繋いでいるように見えました。そんなとき、私の頭の中に浮かんだのは「諦めて良いのは諦めることだけ」という言葉でした。まさに、ネガティブな言葉はこの世に存在しないんだと言わんばかりの姿勢でした。
これこそ、三丘スピリッツを体現したものだと思ったのです。「文武両道」「自主自立」「切磋琢磨」のことを三丘スピリッツと呼んでいるのですが、そのすべてが備わっているからこそ、このシーンでこれだけのメンタリティが保てるのだと思いました。限られた時間の中で自分たちの頭で考えて納得のいくプレーができているからこそのメンタリティであり、目的に向かって一筋に高め合ってきたからこそ迎えることができた、あの場面だと思いました。
今日(月曜日)の昼休みに、部を代表して2人の部員が校長室に来てくれました。昨日、悔しい思いをしたメンバーですから、複雑な想いなのかなぁと思いきや、清々しい笑顔でした。「昨日はありがとうございました」とお礼を言ってくれた後「後輩たちの試合も見に来てください」と続けました。自分たちが引退した次の日に、こんなことが言えるのは凄いと思いました。
これは、1つの価値観で育っていない証拠です。これが、三丘スピリッツに謳われている「真の文武両道」です。勉強も学校行事も部活動も...どれもしっかり経験し、多様な価値観を持っているからこそできることです。バレーボールしか頑張っていない生徒なら、きっと昨日のことを思い出して涙ぐんでいたことでしょう。引退する寂しさを語っていたはずです。「自主自立」と自分勝手を取り違え、その本質を見誤っていたら、自分の中に偏った価値観を生んでしまっていたかもしれません。彼女らを導き育ててくれた、辻本先生をはじめとする顧問の先生方やコーチに心からお礼を言いたいと思います。
中学校でバレーボールをしている人、高校の部活動でバレーボールに取り組みたいと思っている人、是非三国丘高校を受けてください。こんなに素晴らしい世界があります。こんなに凝縮された青春があるのです。