写真は校長室です。9日(火)のCSⅡ中間発表会の後に行われたSSH運営指導委員会が閉会した直後、16時半過ぎの光景です。座っているのは2年生です。CSⅡの授業で、フラワーロス問題の解決策を研究しているSGH班の3人です。彼女たちの視線の先に居るのは、SSH運営指導委員の先生方3名です。大阪大学大学院の教授がお二人と京都教育大学の名誉教授がお一人です。まずは、こんな状況があり得るのか...考えてみてください。三国丘高校でも、はじめてのことです。
この班の研究テーマである「フラワーロス問題」とは何か、簡単に説明します。花屋さんには奇麗な花がたくさんありますが、全部売れるわけではありません。売れ残って萎れてしまった花は生ごみとして廃棄されます。もったいないだけではなくて、環境にも悪影響を及ぼします。これが「フラワーロス問題」です。この問題を解決するために、廃棄される花の茎を使って花瓶ができないかと研究しているのが写真の3人です。
花の茎をミキサーで砕いて、そこにいろんな工夫をした上で乾かしたそうですが、何度作っても脆く、水を注ぐとバラバラになってしまいます。中間発表会のプレゼンテーションでそんな悩みを打ち明けたところ、たまたま、それを聴いていた教頭先生が、彼女たちに言いました。「4時半に校長室の前においで!」「きっと良いヒントがもらえると思うよ!」
3人は、その言葉を信じて、校長室のドアの前で待っていました。校長室に入ってソファーセットに座って、先生方に悩みを打ち明け、試作品を手に取ってもらったら、次から次へとアイディアが吹き出しました。彼女たちも精一杯工夫をしてきたと思いますが、それらをはるかに凌ぐ、今まで考えたこともなかった案が湧きだしてきたのです。いくつものヒントをもらいましたが、その中でも、全員が大きく頷いたのが「柿渋」です。時代劇に出てくる大きな傘は和紙でできているのに、雨が降ってきても破れないのは、何度も何度も柿渋を塗っているからだと教えてもらいました。柿渋は天然の素材で、自然に優しいことから、自分たち(SGH班)の研究目的にも合致すると、思わず笑みがこぼれました。
瞬く間に案を紡ぎだす先生方の様子を見ていて、私は、研究の奥深さと一流の研究者の凄味を感じました。3人の先生方は、それぞれ、化学や生物、理科教育がご専門ですので理系ですが、今回ご助言をいただいた生徒はSGH班ですので文系です。まだ世の中に無いような商品やシステムを考え出し、それをビジネスにしたときどうなるのかを考えるビジネスプランは文系ですが、自分たちのめざすところに行きつくまでに理系の知識が必要になることは度々起こります。
今回は、SGH班がSSH運営指導委員の先生方から教えてもらうというわかりやすい例をお示しすることができましたが、同様のことは、探究学習のいろんな場面で起こっています。これこそ、SSHの目標のひとつである文理融合であり、こんなことができる環境が三国丘高校の特長なのだと、あらためて思いました。
近い将来、軽くて丈夫で環境にも優しい花瓶が街の花屋さんの店頭に並ぶことを楽しみにしています。頑張れSGH班、頑張れ三丘生!