物事を、何となくイメージで捉えることはよくあります。それが悪いとは言いませんが、大事な高校選びを、根拠のないイメージで判断しても良いのでしょうか...?と言うことで、今回は、「学校教育自己診断」の分析をお伝えします。「学校教育自己診断」というのは、すべての府立学校で毎年行っているアンケート調査のことです。共通の項目が多いので、学校毎の比較ができます。調査対象は、"在籍している生徒"、"保護者"、"教職員"です。今回は、本校で本年度実施した「学校教育自己診断」の生徒に対する質問項目のうち、肯定率(「そう思う」又は「どちらかというとそう思う」と答えた人数の割合)が85%を超えたものの中からピックアップして分析をしてみました。因みに、各質問への回答は4択制(「そう思う」「どちらかというとそう思う」「あまりそう思わない」「そう思わない」)になっています。今年度の「学校教育自己診断」(生徒向け調査)で肯定率が85%を超えたのは、23項目中17項目(73.9%)で、過去最多です。
最初に取り上げるのは、学校施設設備に関する項目です。三国丘高校は府立ですので、一般的に考えれば、私立高校に比べて、施設設備の状況は劣っていることが想像できます。全館空調完備や人工芝のグラウンドなど、とても真似できないことはありますが、そんな中でも、施設設備に関する満足度は、89.4%と、非常に高い数値を示しています。しかも、昨年度に比べて5.9%も向上しています。その理由は何なのか...考えたとき、主に2つ思い浮かびます。1つめは、府教育庁がモデルケースとして実施した美装化です。教室棟2階の廊下や壁、すべての教室の黒板や床などを塗り替えるなどして、見違えるように美しくなりました。もう1つは、創立130周年記念事業です。本校卒業生や保護者のほか本校にゆかりのある方々から目標額の90%を超える多額のご寄附をいただき、体育館更衣室やトイレ、新三丘会館、旧三丘会館などの整備をしていただきました。こうした取組が、調査結果に影響しているのではないかと考えます。学校施設設備などの学習環境は、良いに越したことはありません。多額の資金をつぎ込んで、生徒が100%満足するような環境整備ができれば良いのですが、府立高校では難しいのが現状です。しかし、学校施設設備を使うのは生徒ですので、客観的に施設設備の状況を判断するのも大事ですが、その学校の生徒が現状をどの程度肯定しているかということも一つの指標になると考えます。

昨日の放課後、3人の3年生が校長室に来てくれました。受験勉強のことや高校生活の想い出、志望する大学や学部のことについて話しました。一人は、本校卒業生で元宇宙飛行士の土井先生に刺激を受けて、宇宙開発に関係する仕事に就きたいと思い、その分野で多くの業績を残している大学への進学を希望しているということでした。もう一人は、文学部に進み、将来は教職をめざすということでした。彼も、現在本校で勤務している教員(本校卒業生)に憧れを持ったということでした。質問文にあるように進路交流会や日々の進路情報の提供は勿論のこと、三国丘高校には、探究活動や三丘セミナー、部活動など多様な場面で生徒の希望進路設定やその実現をサポートする仕掛けがたくさんあります。この質問項目に、ほとんどの生徒が肯定的な意見を持っている背景には、こうした地道な取組があると考えます。

自主自立の精神は、ずっとずっと昔から三国丘高校の教育方針の最重要ポイントですので、90.9%というのは当然というべき結果なのだと思っています。入学してもらえればわかることですが、学校生活の中で、「〇〇をしなさい」とか「〇〇は禁止です」とか言われることはほぼ無いと思います。
これとは別の質問項目で、「生活指導における先生方の指導は適切である」というのがありますが、この項目の肯定率は87.5%です。しかも、これは、昨年度比10ポイント以上向上して過去最高という結果です。これを見ても、学校生活の中で「自主自立の精神」が尊重されていることがおわかりいただけると思います。

この結果が一番嬉しいです。ほとんどの生徒が、「入学してよかった」と思ってくれているということは、学校教育に対する評価が高いということです。全く同じ文言ではないかもしれませんが、入学後の満足度に関する質問は、すべての府立学校の「学校教育自己診断」に含まれています。この項目だけでも比較してみることをお薦めします。当事者である生徒自身の素直な気持ちですので、この項目の結果(肯定率)の高い学校を選択肢に入れるのは自然の流れだと思います。

今回は、少しでも、中学生(特に3年生)やその保護者のみなさんの参考にしていただけるように、お役に立てそうな項目について解説しました。勿論、より多くのみなさんに三国丘高校のことを知ってもらい、より多くの中学生に三国丘高校を選んでほしいという気持ちはありますが、それだけではありません。他校を受験する中学生や保護者のみなさんにも、悔いのない高校選びをしてほしいと思っています。多くの子どもにとって高校受験は最初の分岐点かもしれません。長い間(40年以上も)教員をしていると、いろんな生徒に出逢います。中には、入学当初からモチベーションの上がらない生徒もいました。そんな経験を重ねているうちに、何より大事なのは、本人が納得していることだと思うようになりました。このブログを読んでくれた中学生が、悔いのない高校選びをして、思い残すことのない高校時代を過ごすことを、心から願っています。