今回で18回めを迎えた、大阪サイエンスディ(大阪府生徒研究発表会)が昨日(12月21日)、大阪工業大学梅田キャンパスで開催されました。今年の発表会には、他府県からの3校を含む34校のSSH関係校(国からSSH〈Super Science high school〉の指定を受けている学校等)が参加し、60本のプレゼンテーションが行われました。参加各校の生徒にとっては、晴れ舞台です。
会場となった大阪工業大学梅田キャンパスには、大きなフラグが設置され、雰囲気を盛り上げてくれていました。

セレモニーの後はいよいよ発表です。三国丘高校からは理系3クラブ(理化部、生物部、天文部)が、日頃の研究の成果を発表しました。運動系クラブに例えていうならば、この日は公式戦。プレゼンテーションの後には、大学教授等の容赦ない質問が待っています。これに対して、冷静に、かつ論理的に答えることができるか...も、大きな評価材料になります。勝負の8分間が始まりました。順に紹介していきましょう。まずは、理化部です。

理化部の発表テーマは、「光触媒による有機物の分解とその効率」です。家庭ごみなどの廃棄物を利用して、安全に、環境にやさしい方法で水素を生成することを目標にスタートした研究について、説明が始まりました。次々と発表者を変えながら続く発表は自信に満ち、相当な時間をかけて仕上げてきたことが一目でわかるプレゼンテーションでした。発表後の質問にも完璧に答え、レベルの高さを感じさせる立派な発表でした。

天文部は、ロケットに関する研究発表でした。テーマは「風船式ロケットの考察~2段式ロケットをめざして~」。部員たちの、宇宙への憧れが凝縮したような発表は聴衆の興味や関心を集めたようで、発表後に審査員がくれたコメントの中にも、この研究を高く評価していることがわかる表現がありました。「今後は、何を目標として研究を続けますか」という質問に対して、「周囲に危険が及ばない範囲でできるだけ高く飛ばしたいです」と答えた場面が、三丘生の生真面目さを表すシーンとして、とても印象的でした。

生物部のテーマは、「光の波長がプラナリアの再生に与える影響」です。飼育しているプラナリアを切断し、波長の違う色の光を当てることによって、その再生スピードがどのくらい変わるのかという実験を繰り返した結果を発表してくれました。とてもわかりやすく、審査員から出された質問にも完璧に答えていました。
この日は、理科の先生方がたくさん来てくれていたのですが、どの先生に訊いても、今年の理系3クラブはどこもレベルが高いとの返事が返ってきました。私が三国丘高校に赴任した令和4年度以降一度も優秀賞を受賞したことがないので、「今年は優秀賞が期待できますか」と訊いたところ、「3クラブのうち、1つは受賞すると思いますよ」という返事が返ってきたので、ワクワクしながら結果発表を待ちました。
この日は、各校の校長が来ているのですが、私はわざと、他の校長先生方とは離れた席に一人で座っていました。受賞した時に、やった!とか何とか叫んでしまいそうな気がしたので、さすがにそれは恥ずかしいと思ったからです。数学、物理、工業、情報、化学と各分野の優秀賞が発表され、いよいよ残るは生物分野だけとなった時、「優秀賞、三国丘高校...」とアナウンスがあり、私は、周囲の目を気にしながら、小さくガッツポーズをし、やった!と囁きました。
優秀賞を受賞した班は、開会式が行われた大きなホールでプレゼンテーションをします。生物部員を代表して、少しも緊張した様子を見せずに発表する三丘生を見て、とても誇らしい気持ちになりました。


大阪サイエンスディでの優秀賞受賞は、みんなでとった優秀賞だと思っています。近年、理系3クラブへの入部者数が急増し、私が赴任する前の2倍を超えています。生物部や理化部や天文部への入部を志望動機として三国丘高校を受験してくれる中学生が増えたということです。運動部のみならず、理系クラブや音楽系クラブが三国丘高校の魅力を発信する役割を担ってくれることは、本校が成長している証です。中学生のみなさんが、SSH校である三国丘高校に憧れ、理系クラブ員をロールモデルとして受験してくれることを願っています。来春、桜の木の下で逢いましょう!