25 withコロナの渦中での意識の持ち方

 週末を迎えます。懇談に来ていただいた保護者の皆様に感謝申し上げます。さて、今週に入って、東京でのコロナウィルス感染症の罹患者数が再び増加に転じたというニュースが連日流れています。人の交流場面が増えると患者数が増えるのは当然なのでしょうが、長い自粛期間がいったん終わって、新しい生活様式がスタートしたばかりなので、首都圏でのこの状態は日本全体にショックを与えています。多くの分野で次が来たら耐えきれないのではないか、という不安を抱えている時に早くも感染者数が大きく伸びた状態になっているので、自粛要請を出すタイミングも難しいと思います。

 言うまでもなく、これは対岸の火事ではありません。首都圏と大阪の人、物の交流が多いのはもちろん、本府内での感染がいつ大幅増加に転じないとも限りません。自粛状態でない時に、気を緩めることなく、しっかりと感染症対策を個や集団のレベルでどれだけできるかが、肝心になってきます。ウィルスそのものをはっきりととらえることはできないので、どうしても油断しがちです。ともすれば、コロナ以前の意識に戻ってしまいます。たとえば、用事があって、公共交通機関で移動するときに、家を出てしばらくしてマスクを忘れたのに気づいた。そこで、まあいいかと思うか、何とかしようと思うか。外出先から戻った時に、うがいと手洗いをする習慣が定着する前に、しない状態に戻ったりしていないか。

 同調圧力が強くなりすぎて、他者への直接間接の攻撃につながるのは問題ですが、お互いが気をつけあうということは必要です。人間にはミラー効果といって、他人の言動をコピーする傾向がありますから、感染症対策を率先してきちんとする人間が多ければ、自ずと対策をとる人の割合が増えると考えられます。

 まだafterコロナではない、withコロナの攻防が続いているという認識をしっかりと持つということが意識のうえでは大切になります。自粛緩和後のマスコミの報道姿勢等にも問題があったのかもしれませんが、これでbeforコロナに戻れる、afterコロナになったという雰囲気になってしまった部分があります。(「長い自粛期間が終わりました!街に人と活気が戻ってきています!」とレポーターが明るくしゃべって、その後にサラリーマンや若者が楽しそうに飲み会をしている様子などを映像で流されたら、感覚的に誤解してしまうのは当然でしょう。)

 一方で、謝らさないと気が済まない、という風潮がいつからか強くなってしまっていますが、この増加傾向への転換を受けて、すでに必要以上に責任追及の雰囲気が出ているように感じます。新しい生活様式における目標は粘り強くwithコロナをしのぎながら、この辛くて苦しい体験を活かし、本当のafterコロナに結びつけていくことでしょう。そのためには、様々な課題の解決に向かって、力を合わせていくことが必要です。(学校の教育もそうです。いろんな立場で、いろいろな考え方の人間が関わるのですが、子どもたちの育みを充実したものにしよう、子どもたちの成長をよいものにしていこうという点では関係者が一致している必要があります。)責任を追及され、攻撃されたものが委縮しつづける状態からは、一律で無難な発想しか出てこないでしょう。挙句の果てには「そういうことなら、すべてやめてしまおう」ということになりかねません。

 withコロナという意識をしっかりと持ちつつ、リスクもふまえながら、いかにして前向きに社会づくりなどに取り組んでいけるか、特定の人間だけが旗振りをするのではなく、いろいろな立場の人間が自分と共同体の問題としてとらえ、建設的な方向に歩みを進めることができるか。この状況下の「学校づくり」も、そういうことを意識しながら、皆さんと一緒に進めさせていただきたいと考えています。

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