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39 もうすぐ冬期休業期間を迎えるにあたって~古都の魅力にふれる~

 鎌倉時代を舞台にした大河ドラマが最終回をむかえて、反響をよんでいるようです。古都と言えば、我々は奈良、京都を思い浮かべます。この二つが日本という国の成り立ちをふまえると大きな役割を果たしたことは言うまでもありません。それに比べると、鎌倉は規模も小さく、歴史の表舞台に立った期間も短いのですが、中世の一時は国政の中心として栄えた、関東の人々にとってはかけがえのない古都です。

 高校生の皆さんはどちらかというと未来志向で、新しいものごとへの興味関心が高いでしょうし、それでいいいのですが、できれば歴史や古典にも興味を持って、古都の魅力にもふれる機会を持ってほしいと思います。小学校の校外学習で有名な寺を訪ねて、有名な仏像を観ても、何とも思わないかもしれません。でも、そのうちに、その良さやすばらしさに魅せられる時がやってくるかもしれません。子どもの時には何とも感じなかった社寺建築や仏像彫刻に心惹かれてやまない瞬間がやってくる可能性があるのです。おそらく、それには数多くの回数を重ねることも必要でしょうから、機会を持つことが大切だと思います。西高生のみなさんにはそういう面での感性も育んでいってほしいと思っています。

 私は奈良や京都ももちろん大好きですが、行けた回数は多くないにしても、鎌倉もやはり大好きな古都です。大好きな実朝の暗殺の舞台となった鶴岡八幡宮の大イチョウ、偉大な武家の棟梁である頼朝の墓、当初の幕府跡(現在は小学校になっています)、建長寺や円覚寺などの質実にして剛健な雰囲気の寺々など。初めて訪ねた時には小町通にも現在のようにおしゃれな店はあまりなかったのですが、尊敬する小林秀雄の墓がある東慶寺の紅白梅があざやかに咲いていたことなど、とても印象的でした。その小林が詩人の中原中也との思い出を語る舞台となった比企谷 (ひきがやつ)の長興山妙本寺を訪れた時には大変感動しました。

 有名な高徳寺の大仏を見て、鶴岡八幡宮に参拝して、おしゃれな店で買い物をして終わりというパターンが多いのでしょうが、歴史の知識を持っていると光景を見る眼が変わり、それこそ歴史に息づく姿を現してきます。今年はドラマの影響で鎌倉の街は大変にぎわったようですが、あまり訪れる人もいない頼朝の墓にもたくさんの人が訪れたことでしょう。

 歴史的な見どころとなるところはたいてい冬はとても寒いのですが、西高生のみなさんにも、もうすぐ始まる冬期休業期間にも機会があれば、古都を訪ねてその魅力にふれてみてほしいと思います。

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