「ここは今から倫理です」

 NHKの土曜夜の「ここは今から倫理です」というドラマを観ている方はいるでしょうか?来週で最終回なのですが、毎回録画して欠かさず見ていました。決して主人公役のジャニーズファンというわけではありません。(ジャニーズで好きなのは一人だけなので!蛇足ですが。)なんとなく題名に魅かれて録画リストに入れて第1回目を観て以来、続けて観てきました。とても興味深かったからです。

 「なんとなく題名に魅かれて」と書きましたが、思い当たることがあります。それは今年度春日丘高校に赴任して、2学期に授業見学で倫理の授業を見学して、とても面白くて、もっと授業を受けたいと思ったからです。担当は非常勤講師の岡本先生です。こんなことを言うのは恥ずかしいのですが、私にとって倫理とは「わけのわからない授業」でしかありませんでした。高校の時に受けた倫理の授業は、『無とは?』という問いが延々と何時間も続く、???な時間でした。真面目な?私たち生徒は、決して私語もせず、ひたすら耐えていましたが、部活動が終わった後の帰り道、友達と「無とは?ってなんなん!?」って怒っていたのを今でも覚えています。そんな苦い思い出のある倫理でしたから、岡本先生の授業を見学して、「こんな授業を高校の時に受けていたら!」と思いました。そうそう、これもちなみにですが、管理職になって授業見学をするようになって、「こんな風に教えてもらっていたら、この科目を嫌いにならなかったのに!」と思うことがあります。前任校でも春日丘高校でもです。それは、わかりやすいというのもそうなのですが、ただわかりやすいだけでなく、「なんで?」とか「それでどうなるの?」とか、「もっと知りたい!」と思えるような授業です。

 さて、ドラマの話ですが、今回は、行事で一致団結してとても盛り上がるクラスの話でした。そのクラスの中にいて、その盛り上がりになんとなく違和感を感じる生徒たちがいて、その中のひとりがクラスのグループチャットに入っていることに息苦しくなって抜けてしまうと、いわゆる「いじめ」というか「はみご」にするという感じになっていってしまいます。その時、倫理の先生は、「どうしたらいいのか?」を問いかけます。正解はないと思います。でも、考えることには意味があると思います。昔からいじめはあったし、人間関係を作るのにクラスという小さな空間では難しいこともありました。でも今は、SNSという存在が便利な反面、知らないうちに人を追い詰めてしまうというのも事実です。

 みんなが明るく、元気で、前向きで、行事大好き!・・・なんて、ありえないというのは当たり前ですよね。人は生きていく中で、自分の思いをすべて通すのではなく、妥協したり、我慢したり、逆に我を通したり、意志を貫いたりして、自分なりに満足したり、悔しがったり、打ちのめされたり、いい気になったりするものだと思うのですが、高校生の皆さんには、失敗しても、まちがっても、自分が思うことを行動にうつせる環境が少しでも整っていればなあと思います。そういう学校でありたいと思います。

 ドラマの録画を観ながら、こんなことを思いました。