『先生。自由とか言われても。』

 7月の初め頃、通勤で使っている大阪メトロ御堂筋線に乗り込むと、一両丸ごと水色の地に白の文字がさわやかな広告で埋め尽くされていました。時々、一つの広告で車両全部を独占するということがあります。例えば、いつだったか、大阪の色々なお店で販売しているお寿司づくし!思わずその日は、デパ地下でお寿司を買って帰りました。(まんまとひっかかっています。)

 さて、その水色の広告ですが、タイトル以外にも「先生。自由って何ですか。」などキーワードは『自由』だということはすぐわかりました。そして、別の広告に『夏休み自由研究 超サポート制度』という文字があって、「なんだ、また塾か何かだな。いたれり、つくせりじゃあ、自由研究じゃないやんか。」と思い、その日はそれ以上見ませんでした。

 その次に、同じ広告のある車両に乗った時気が付いたのは、吊り広告ではなく、ドアの横にある広告はちがうパターンだということです。『VS親の介入』『VS先生の思惑』『VS友の誘惑』『VS自分の忖度』と。「なんか、おもしろいやん。」と思い、どこがやっているのかなとよく見てみると、大阪のお隣の県にある水族館でした。そういえば、やたらと魚やペンギンの写真もあちこちにあるなあと思っていました(笑)

 そうですよね。自由と言われたらとまどう。無から自分で何かを始めたり、作るのは難しい。いつも通りだったり、ある程度お膳立てしてあるものに少し頭を使って取り組むくらいなら簡単にできる。自由ってなんかめんどくさい。でも、だからこそ、自由は大切なのだと思います。

 去年春日丘に来てから、『自主・自律・自由』の校風ですが、その中でも「自主・自律」を強調していることがあると知りました。確かに、百周年の記念誌を見ていても、『自主・自律』の校風というような記述もありました。

 私自身は、『自主・自律・自由』と必ず言うことにしています。なぜなら、「自主」も「自律」も簡単なことではないかもしれませんが、心がければ身に着くことだと思います。でも、真の意味の「自由」ほど大切で、難しいものはないと思うからです。だから、「自主・自律・自由」と3つ揃ってこそ、春高ではないだろうかと。春高生の皆さんには、高校生活の中で、真の意味の「自由」を実感してもらいたいと思っています。