なんと二連覇ですよ!飛び上がるくらい嬉しかったです。厳密にいうと二連覇が嬉しかったんじゃありません。発表してくれた三丘生たちの努力が報われたことが何より嬉しかったんです。毎日毎日遅くまで練習してたことを知ってましたから、その辛さは容易に想像できました。発表したのはGLHS10校から代表各1班、その中で大阪大学賞を受賞できるのは1校のみですから大激戦です。心からおめでとうと言いたいです。受賞が決まった後、メンバーの目に涙を見たとき、私も泣きそうになってしまいました。本当におめでとう!
実はこの班は最初から完成度が高かった訳ではありません。国語科の先生は勿論、代表として発表することが決まってからは大塚先生や教頭先生が特訓をしてくれました。私があれこれ書くよりも、二人の先生からいただいたコメントを掲載することにします。読んでください。まずは、大塚先生です。
今回の発表班は、大阪大学での発表が決定して以来、年末から放課後に残り、地道に準備を進めてきました。当初は、実験手法の導入や多数のインタビューの実施も検討しましたが、研究内容を精査した結果、先行研究を踏まえた論証型のアプローチを採用することに決めました。
彼らの研究テーマは、中国の「狗耕田」と日本の「花咲爺」の相違点についてでした。発表では、まず先行研究として柳田國男の研究を取り上げ、①研究対象が国内に限定されていること、②物語を社会制度との関係性から分析していないことの二点を指摘しました。そのうえで、柳田とは異なる視点から、物語と社会制度の関係に着目する仮説を立て、複数の資料を分析しながら物語の違いを考察しました。彼らの考察は、社会制度と人々の生活の間にあるギャップや葛藤が、物語に対する共感や関心を生み、それが物語の普及や定着につながったというものでした。
発表後、大阪大学の先生から以下の二つの質問がありました。
1 「なぜ『花咲爺』を研究対象に選んだのか? また、中国以外の国にも『狗耕田』や『花咲爺』に類似した物語は存在するのか?」
2 「社会制度が物語に反映されることについて、相関関係だけでなく因果関係があると言えるのか?」
一つ目の質問に対しては、『花咲爺』は 日本五大昔話の一つであり、分析の対象として適していると判断したことを説明し、さらに、質疑応答用に用意していたスライドを用いて、ベトナムや朝鮮半島などに伝わる『狗耕田』の類話を紹介しました。
二つ目の質問については、「これまでの資料から明確な因果関係を示すことは難しいが、社会制度と物語の内容の関連性について、自分たちなりに推論を行った」 という趣旨の回答を行いました。
このやり取りを受けて、大阪大学の先生からは 「そのような返答が聞けてとてもうれしい。一緒にこのような研究を頑張っていきましょう」 という最高の賛辞をいただきました。大学の先生の視点から見ても、研究の範囲内での論証の適切さ、参考文献の多さ、手堅い研究手法のどれもが評価されたのだと思います。
私も何度かサポートさせてもらいましたが、今回の大阪大学賞の受賞は、100%生徒たちの努力の成果だと思います。班の中でのチームワーク、論理的思考と誠実な研究姿勢、そして分かりやすく伝える工夫が高く評価された結果でしょう。彼らの今後のさらなる活躍を期待しています。
続いて、教頭先生のコメントです。
昨日はお疲れ様でした。改めて、大阪大学賞の受賞、本当におめでとうございます。今年は10校ともかなりレベルの高い発表ばかりだった中で大阪大学の研究者の先生方が、皆さんの探究成果に「大阪大学」と名の付く賞をあげようという結論に至ったのは1年間に渡り根気強く調査を続け、その中で得た自分たちの発見を最後まで妥協せずに探究し続けた結果だと思います。
今回の素晴らしい成果を自信に、これからもいろんなことに興味を持ち、深く考え、調べるくせを身につけて、大学や社会で活躍してください。
努力がなければ感動も涙もありません。一方で、努力は必ず報われるものでもありません。今回も相当の努力を重ねて臨んだ学校がたくさんあると思います。高い評価を受けたことを誇りに思う一方で、そのことを深く理解しておく必要があると思います。今回受賞したみなさんは、この成功体験を糧にして、次なるステップに進んでください。
授賞式が終わった後で、この日質疑応答を担当してくださった大阪大学の教授とお話をする機会に恵まれました。私がお礼を申しあげると、先生はこんな話をしてくれました。「教科学習で高い評価を受けて入学した学生より、探究学習等での成果を認められて入学してきた学生の方が優秀だなぁと思うことがあるんですよ」
この言葉の意味は、大学生になって研究をする立場になったら、探究学習は大きな力を発揮する...と解することができます。探究学習は大学進学の妨げになるという理論を展開するのを聴いたことがありますが、この教授のお話を聴いて、それは正しくないと再確認できました。大学入学がすべてではなく、その先に続く人生を考えたら、高校時代に探究活動に熱中する時間があることは無限の可能性を秘めた大事な大事な時間であることがわかります。
このブログを読んでくれた中学生のみなさんは、是非、自分の人生を長いスパンで考えてみてください。探究活動と教科学習をバランスよく配置し、生徒の将来を見据えた教育を展開している三国丘高校の教育の価値がわかると思います。保護者の皆様もお考えいただければ嬉しいです。