「三国ブラス」即ち三国丘高校ブラスバンド。我々は、親しみを込めて、三国丘高校吹奏楽部のことをそう呼びます。その「三国ブラス」の卒業式が昨日、ソフィア堺で行われました。78期生は、昨日の「第56回定期演奏会」をもって引退しました。三国丘高校で仲間とともに音を紡いできた日々を思い、心を込めた演奏が多くの観客の心に響いていました。
音楽に関しては全く無知な私ですが、日頃、校長室にいると聞こえてくる吹奏楽部の音が変化するのを感じるんです。特に、朝とか昼休みに聞こえてくる音は季節とともに変化します。春は、思わず「頑張れ」と言いたくなるような音です。楽器自体未経験な新入生が入部して、先輩たちに追いつこうと必死に吹いていることが手に取るようにわかります。健気な音です。それが、夏休みを超え秋にもなると「上手くなったなぁ」と思える音になるのです。私のような素人でもそう感じるのですから、吹奏楽を経験したことのある方ならもっと詳しい違いまで聴き分けられるのだと思います。そんな部員たちの日々の生活を知っているからこそ、昨日の演奏は心に沁みたのかもしれません。
会場に着いたら、今春卒業したばかりの77期生が受付や案内係をしていました。これも「三国ブラス」の伝統です。さらに行くと、この演奏会にかける思いや「三国ブラス」の活動の軌跡を綴った掲示物がありました。後輩のために裏方を笑顔でつとめる卒業生の嬉しそうな顔が手づくり感満載の卒業式を演出してくれているようでした。
演奏会は三部構成でした。ミュージカル仕立ての第2部は部員が企画したステージです。アイドルをめざす2つのグループの間で芽生える友情をテーマにしたミュージカルは、とても見ごたえのあるものでした。演奏もさることながら、素晴らしい演技にも大きな拍手が巻き起こっていました。
第3部では、引退する78期生だけで構成された演奏もありました。一生の想い出になる演奏になったと思います。
最後は、顧問がみなさんにご挨拶をしました。吹奏楽の経験がない先生が顧問になり、あれこれ迷いながらも部員と正面から向き合い、楽しい時も苦しい時も、嬉しい時も悔しい時も寄り添ってきた時間がどんなに素晴らしいものだったかを淡々と語る姿に感動しました。
三国丘高校吹奏楽部という伝統のある部活動の中で青春を過ごすということは、青春の証を刻むということです。ずっとずっと先になって振り返ったとき、自分が伝統の一部になっていることを感じるんだと思います。「三国ブラス」に限らず、三国丘高校で部活動をするということは、そういうことです。
私は、今日の入学式の式辞で「三国丘高校では部活動をすることが当たり前です」と言いました。この言葉の真の意味は、三国丘高校で部活動をすることが、人生にどれだけ大きな意味を持つものなのかを理解してもらえた人だけに届くのではないかと思っています。