6 1年生の登校日 ~「木登りの名人」の教訓など~

今日は1年生の登校日で、芸術の教科書等の購入がありました。昨日、大阪府は緊急事態宣言の解除地域になりました。この調子でいけば、府内の学校も授業が行えそうな雰囲気です。

古典の教科書にもよく載っている「徒然草」の章段に「高名の木登り」という文章があります。木登りの名人が人を指図して、高いところの木の枝を切らせていた。その名人は切る作業をしていた人が低いところまで降りてきた時に気を付けるようにと声をかけて注意した。その場にいた兼好にしてみれば、高いところにいる時には注意しないで、低いところまで来てから声をかけたのはなぜかと思ったという話です。名人は「高いところでは自分でも怖いから気をつけているから大丈夫ですが、低いところまで来るとホッとしてかえって危ないからです」というようなことを答えました。兼好は非常に感心するのです。木を登っての剪定作業だけではなく、人生全般に通用する教訓だからです。単に木登りが上手だから名人なのではなく、心構えの点ですぐれているからそうなのだと兼好は納得したことでしょう。

武具を用いての真剣勝負に関する文献を読んでも、息を抜いてホッとした瞬間に、倒されている例がみられます。「いや、お手前ほどの方には勝てないとわかり申した。刀をおさめてくだされい。」と言われて、構えを解いた瞬間に切り倒されてしまう。卑怯と思われるかもしれませんが、正々堂々と戦うことが基本のスポーツの試合ではなくて、命のやりとりをしている勝負においては、命を落としたほうが負けなのです。相手にそそのかされて簡単に構えを解いたほうの剣士が未熟だったということになるのです。

感染症の罹患者数などが減少してきているのは、とても喜ばしいことです。そのムードに水をさすようなことは本当は言いたくありませんが、だからこそ、徒然草の教訓にあるように、この状態を維持するために、これまで以上に用心して感染症防止対策に当たる必要があると思います。100年前のスペイン風邪流行の時には、日本は第二波の襲来を招いてしまい、第1回目の流行時よりも高い死亡率になり、両方あわせて累計で38万人の死者を出してしまいました。その時と同じ轍をふまないためにも、コロナウイルスとの闘いに負けないために、個々の人の地道な心がけが集積された協力が必要です。学校でもいろいろと対策をしながら、教育活動をしていくことになります。

カレンダー

2023年3月

      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

年別一覧