78 3年生学年末考査

 今日は土曜日ですが、3年生は定期考査、1・2年生は授業を行いました。3年生にとっては、高校生活の締めくくりにあたる定期考査になります。コロナ禍に振り回されがちな日常のなかでも、すべきことを丹念にしていくことが大切です。

 扱い、こなさなければならない情報量が増えると、個々の判断に時間をかける余裕がなくなるので、現代は一層マニュアルの重要性が増していっています。そういう状態でマニュアルがあまり役に立たない未曽有の感染症拡大に見舞われたので、落ち着きのない日常が継続しています。この状況下で、しかも思春期、青年期の生徒が平常心を保つのは本当に難しいと思いますが、しっかりと自分をもって卒業までがんばってほしいと思います。

 批評家の小林秀雄は歴史について書いた文章のなかで、次のようなことを述べています。非日常でない日常がすっと続いた時代はこれまでにもなかった。過渡期でない時代などないのだ。非日常のなかで、精神まで非日常的な、落ち着きのない状態になってしまっては、物事を成し遂げることはできない。

 センターテストの国語の問題で刀の鍔(つば)を扱った小林の文章が出たことがありますが、その文章もこういう内容を説いたものでした(設問が筆者の最も伝えたいことにふれていないものになっていたのが残念だった記憶がありますが)。戦乱に明け暮れる時代にものを作る職人が非日常の状態に精神的に振り回されていたら、いい仕事はできない。仕事は平常心で丹念にしなければならない。そうしてできあがった作品は精一杯に状況とたたかって負けなかったその職人の精神のかたちをしている。美しく、しかも実用性も兼ね備えた見事な作品はそのまま作った人間の心の姿をしている。

 そういう境地にいたることは至難の業ですが、そのような心がけはいつの時代にも必要だと小林の文章は伝えています。

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