10 懇談週間です ~人間関係で大切なことを考える~

 今週は懇談週間です。日程を決めて久しぶりに授業公開も行いました。来校していただいている保護者の皆さまには本校教育活動へのご理解ご協力をいただきましてありがとうございます。

 さて、今回は西高生のみなさんに人間関係で大切なことを考えてほしいと思います。団体競技のスポーツを見ていると、当然ですが連係プレーがしっかりとできるチームが強いのです。個々の実力がいくら高くても、他の選手との呼吸や間が悪いと、結局は試合に勝てません。先日のPTA総会でも申し上げたように、学校教育をめぐっても色々な「連係プレー」場面がありますが、保護者の方々と教職員との連係プレーは最も大切なものになります。では、連係プレーで大切になるものは何でしょうか。個々の技量もそうですが、まずは相互に信頼関係があるということでしょう。

 前回、日本の儒教文化に少しふれましたが、もともと儒教の祖である孔子の教えでは「仁」というものが最も重要な概念です。他者に対する「思いやり」です。「愛」と言ってもいいかもしれません。ところが、抽象度が高いせいもあってか、日本語でよく使われる熟語では「仁」という漢字はあまり見かけません。よく使われるのは「信」です。「信用」「信頼」「信念」など、すぐ思いつくだけもたくさんあります。有名な哲学者たちは日本は「間」の文化だと言っています。個人のアイデンティティのなかに他者との関係がすでに含まれている文化だということです。まず、ある人間関係があって、その中に自分がいるという感覚です。その「間」を成り立たせるうえで大切なのが「信」になります。

 「信」はいきなりできるものではなく、築いていくべきものです。社会で生きるということは基本的に「信」を築いていくということです。この人なら任せても大丈夫だという感じをどれほど他者から持ってもらえるかという信頼度や信用度などが、その人の社会での立場を決めていくことが多い。何の根拠もなく「私を信じてほしい」と言っても、はいそうですか、とはいきません。どのような職業でもふつうは軽めの行動課題を与えることからはじまって、できそうだという信用度が上がっていくにつれて、徐々に重い仕事を任されることになっていきます。

 若い人にどういう人間になりたいかと尋ねた時に「他人から信用してもらえるような人間」という回答をする人がいますが、そのためには根拠となる土台を怠らずに作っていくことが必要です。「キャリア」「経験」を積むことがそれになります。主体性を持たず、責任ある仕事や役割を避けていては、キャリアを積むことはできないし、「信」を築くことはできません。残念なことに、現代では「間」を成り立たせる「信」を土台とした文化を大切にする感覚が鈍ってきているように感じている人も多いのではないでしょうか。

 本校の育成目標である「社会的な実力」のなかに、人から信頼を寄せられるということが含まれていることは言うまでもありません。自分のあり方を考えるために、西高生のみなさんも自分の言動や立ち居振る舞いをその視点から振り返ることを時々してみてほしいと思います。

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