28 教育活動遂行における優先順位

 昼間の気温はこの時期にしては高めですが、しばらくは安定した天候に堺地域はなっています。体育の部も終わって、生徒たちの様子も落ち着いた雰囲気になってきました。今回は学校をマネジメントしていくうえで考えていることについて書いてみます。

 専門コースもある授業を中心にして、行事や部活動などにも活発に取り組むというのが堺西高校の基本的な教育コンセプトです。授業もそうなのですが、特に行事や部活動などは生徒と教職員以外の方たちとの関りの部分が大きくなります。理想的には教育活動に関係するすべての事象が同じ目標に向かって対立や意見の食い違いを生じることなく行われることでしょうが、現実的には様々なところでうまくいかないところが出てきます。あちらを立てれば、こちらが立たずという状態です。

 社会のどのような営みであれ様々な意図や目標を抱えて行われているでしょう。立派な経営理念を持って、商いを通して人間性の涵養をするという目標もあります。しかし、人間性の涵養を第一優先にしていたのでは、商売自体が存続できないというケースが出てくると思います。利益をあげないと組織がつぶれてしまう。経営者であれば、いろいろとある理念のうちでもまず法を遵守しながら必要な利益を確保して組織を発展させていくことが優先されるべきでしょう。

 では学校はどうでしょうか。学校では何が優先されるべきでしょうか。なぜこういうことを述べるかというと、重要な教育活動の実施にあたって大きな判断が必要なケースがコロナ禍以来とても増えているからです。私もまさしくそういう状態に直面してきました。判断するためには判断の基準が必要です。つまり、どうしても優先順位をつけなければなりません。

 AもBも大切である。そのうえで、どちらかを選ばなければならない。もちろん、調整した結果、ゼロか100かという状態にならないことがほとんどですが、その場合でもどちらかを優先しなければならないことがほとんどです。私は「可能な範囲で、生徒にとってどうするのが最もよいか」という基準で考えています。学校という組織は根本的に生徒を主役としたものです。情報も収集して、調整したうえでも生徒とそれ以外のものとの間で利害が生じる場合には、生徒集団にとってよいほうを選ぶことになります。ざっくりと言えば、開放的にしたいのはやまやまだけれども、生徒を感染から守るためには制限せざるをえない、というケースなどです。

 開かれた学校づくりを心がけていればいるほど、今般のコロナ禍のために辛くて苦しい判断をしなければならないケースに直面している学校はたくさんあると思います。これからの日本の教育環境の展開を予想してみると、学校がふたたび閉塞的な組織になってしまうことは考えられません。おおもとではぶれない基準で学校教育活動について判断していく必要性はいっそう増していくと思われます。

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