平成31年度入学式式辞

 校庭に桜の花が咲き、春風がその花びらを揺らす心地よいこのよき日に、第五十七回入学式が挙行できますことを、心から嬉しく思います。

 ご来賓の方々には、公私ご多用のところご臨席を賜りまして、誠にありがとうございます。また、平素より本校教育活動にご理解・ご支援を賜り、かさねて感謝申し上げます。

 保護者の皆様、お子様のご入学、おめでとうございます。さぞかしお喜びのことと存じます。あらためて、心からお祝い申し上げます。本校は教育方針として、「自主自律」すなわち実践力の高い人物の育成、「誠実勤勉」すなわち寛容性に富む人物の育成、「清新進取」すなわち想像力豊かな人物の育成を掲げております。ただ今入学を許可いたしました三百二十名の生徒たちにつきましても、その身体の安全、心の安心を大切にしつつ、これから卒業まで熱意と責任を持って教育に当たることをお約束いたします。

 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。厳しい受験勉強を乗り越えて、本当によく頑張りましたね。今日から高校生活のスタートです。受験勉強が終わってホッとしている人もいるかもしれませんが、高校では中学校で学んだことをもとに、さらに高度な内容の学習をすることとなります。日々の勉強にしっかり取り組んでください。

 ところで、新入生の皆さん、皆さんは、なぜ勉強するのでしょうか。「高校合格のため」「大学進学のため」などの答えもあると思いますが、勉強することの究極の目的・意味はなんでしょうか。例えば、地理の授業で世界各地の気候や地形などを学びますが、なぜ、学ばなければならないのでしょうか。以前、ある地理の先生に、「行くこともないかもしれない世界各地の気候や地形を、どうして勉強しなければならないのでしょうか」と尋ねたことがあります。すると、その先生は、それは「世界平和のためです」とおっしゃいました。「世界の各地で暮らしている人々は、当然、その気候や地形などに大きく影響を受けている。その人たちと仲良く、平和に暮らしていくためには、その人たちが置かれている環境を知らねばならない」とのことでした。そのように考えれば、数学や理科で学ぶ論理的な思考や実験・観察に基づくものごとの捉え方は、言葉が異なっていても理解しあえる、世界共通のものです。保健体育で学ぶ健康や心身の育成、家庭科で学ぶ衣食住にかかわること、芸術としての音楽や美術・書道は、国や時代を越えても分かり合えるものです。国語や英語など、言葉として学ぶコミュニケーションも当然、様々な人と分かり合い、つながるために大切なものです。これから皆さんが生きていく社会は、グローバル化や情報化がさらに進展し、世界の様々なことを理解せずに生きていくことはできないと言えるでしょう。そして、世界の人たちと協力・連携して生きていくことで、皆さん一人一人が幸せに暮らすことができるのです。言い換えれば、皆さんがこれから勉強するのは、皆さん自身が、そして皆さんが大切に思っている人が、そして、皆さんにかかわるすべての人が幸せに暮らすため、と言えるのです。勉強することは楽なことではありませんが、その努力は、皆さんの幸せとして実を結ぶということを理解し、それぞれの興味・関心をより深め、将来の目標、進路実現に向かって全力で頑張ってくれることを期待します。

 最後になりましたが、保護者の皆様、高校生はまだまだ大人への階段を上っている途中です。学校といたしましても、学習活動や行事、部活動などにおいて、可能な限りの指導・支援をしてまいりたいと考えておりますが、ご家庭のご理解・ご協力なしでは充分な成果を上げることはできません。今後も、保護者の皆様に対しまして、様々なご協力をお願いすることがあるかと思いますが、格別のご理解を賜りますようお願い申し上げて、入学式の式辞といたします。

                                              平成三十一年四月八日

大阪府立枚方高等学校

      校長 小嶋 信男

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