23期生『夢十一夜』

23期生の『夢十一夜』です。2018年の夏に書きました。

『夢十一夜』   アイスクリーム

 こんな夢を見た。

 私は、屋敷のような所にいた。そして私の周りには刀を持った、たくさんの男が並んでいた。私は、一人の男にこう尋ねた。

 「ここはどこですか?」

 すると、男はこう答えた。

 「何を言っておる。そなたは上様の娘ではないか。」

 男の話によると、ここは江戸時代で私は上様の娘であるというのだ。私はどうやら江戸時代にタイムスリップしたらしい。

 私が一人でいるとある少女が私に声をかけてきた。

 「そなたは記憶をなくしたらしいな。私はそなたの親友だ。これからも仲良くしよう。」

 と言った。私は同世代の少女に声をかけてもらい一気に緊張が解け、安心した。

 そのあと、私はその少女とたくさん話をした。私の父がどんな人か、私とどのようなことをして遊んだかなど。私はその少女と話をしていると安心感に包まれていた。

 ある晩、敵がこちらへ攻めてきた。私は、男に安全な場所へ移された。目の前では、男たちが血を流し必死に戦っている。

 すると、あの少女が私の前へ現れた。私が声をかけようとした瞬間、少女が私に刀を突き出した。

 「そなたの父は私の父を殺した。私は、その仇を討つためにそなたとそなたが愛する家族を殺す。覚悟せよ。」

 私は、身動きがとれず足が震えた。

 ハッ。目を開けると、私はいつもの朝のように教室にいた。チャイムと同時に担任が入ってくる。すると、担任の後ろにはある一人の少女がいた。そして担任がこう言った。

「紹介します。転校生です。」

 顔を見るとなんとあの少女であった。そして、少女が私に向い、

 「これからも仲良くしようね。」

 とにやりと笑いながら言った。