2012年3月アーカイブ

※ 前編からお読みください。   『もう一度、声を』 (後編 2/2)   ボコ 「――ラ、―-ュラ!!」......誰かが呼んだかな?私の名前。こんな楽しい事を邪魔するなんて、なんて不躾な人なんだろ......全く、そんな奴の顔見てみたいよ......「シュ―――ラ!!」うるさいなぁ......さっきよりはっきり聞こえる。邪魔しないでよ......いま、遊んでるんだから。「シュラ!! ...

『遥かなる故郷』につづく、シラルド&タルヴィ・サーガの第二弾をお届けします。今回は前・後編でお楽しみください。   『もう一度、声を』 (前編 1/2)   ボコ 「集え、我が同胞達よ!! 死を恐れるな!! 我等が前に在るのは勝利のみ!!」銀色に輝く剣を携えし少女は高らかに宣誓する。兵たちを先導するために。自らの不安を覆い隠すために。 その世界には戦争が起こっていた。シラルド国とタルヴィ...

今宮和歌集2011 巻四

巻四では、「風物」と「私」の部をお送りします。 詠んだのは夏休みでした。その季節の思いがよみがえります。   今宮和歌集2011 巻四   風物  夏おわるせみと白いくも青いうみ また来年とつぶやいてみる   かあ せんぷうきなおしてわかる秋のかぜ せみのこえがきえすずむしの声   かあ 眠いけど暑さに負けて目を覚ますされど我慢だ節電の夏   滝坂昌秀 蝉の声夕陽と共に落ちてい...

てのひらの小説 『遥かなる故郷』 ボコ

ボコさんの放つファンタジー・ワールドをお楽しみください。   『遥かなる故郷』   ボコ 俺が住むシラルド国と隣国タルヴィ国。二つの国の二人の王の醜い争い。それはお互いの国全体を巻き込んで、数十年もの長い戦いを続けた。大地が焼け、生命は死に絶えた。ようやく戦いを終えた頃には、何もかもが消えていた。もちろん俺の全ても灰へと消えたのだ。 俺の故郷はシラルド国の辺境に位置する小さな村だった。な...

今宮和歌集2011 巻三

九月に掲載した「今宮和歌集」2011年度版の続きをどうぞ。   今宮和歌集2011 巻三     巻頭五首  むらさきの星がきらめく坂道に一人佇むたんぽぽの種   風雷成也(ぷらなりあ) いたんでるかみのけをみておもいだす私のかみをほめたあなたを   かあ 揚げ足をとりあい野次る大人達これが国会?聞いて呆れる (第25回全国短歌フォーラムin塩尻に秀作賞入選)  俵万...

てのひらの小説 『シュガーデイ』 乾

てのひらの小説の第二回合評会に参加した作品を採り上げていきます。その第一弾、『シュガーデイ』の登場です。   『シュガーデイ』   乾 「あー、テステス。聞こえているかね、スイート街(タウン)の諸君」 歩道のスピーカーから聞こえてきた声に、道を歩いていた人々が一斉に足を止めた。お祭りごとや非常時のとき以外使われるはずのないスピーカー。そこから聞こえる人の声に人々が首を傾げていると、今度は...