2013年アーカイブ

梅花女子大学・山川登美子短歌賞

第20回 梅花・山川登美子短歌賞に、17期生2年生の現代文の授業から応募しました。 以下に結果をご報告します。 テーマは「今」でした。   応募総数1277首から   予選通過116首のうち  今思うあの時やれば良かったな 過去は変わらず 変えるは未来    A  この国の"今"を生きゆく若者の強い力で"未来"を創る    T   佳作  ひぃばあちゃんテレビ観てたら...

小説 『ちょっと太鼓叩いてくる。』

 飽和珈琲さんの一編です。 これはもうブンガクしてますね、と感心する作品になっています。ちょっと読んでみてください。 『 ちょっと太鼓叩いてくる。 』  飽和珈琲    ようようよう。今日はまたこんなさびれた店なんかに顔だしなさって。まあ俺の隣すわんなよ。今日はどうした?仕事帰りか。おまえ工業だからすぐ仕事で忙しいよな。俺?ああ、俺は大学楽しいよ。今日はどうしたってか。まあ太鼓の達人やっ...

小説 『草原に佇む男と、小さな少女。』

夏のてのひら小説で書かれた作品を紹介します。 第1弾は、ペンネーム無しさんの掌編。味わい深い描写をお楽しみください。   『草原に佇む男と、小さな少女。』 地上から空まで遮るものなど一切なく、佇む男の少し乾燥した黒の瞳に映る月と星。月は落ちてくると錯覚するほど大きく、また、星は黒塗りの空に見渡す限り、煌々と浮かび上がっていた。口をぽかんと開けて空を見ている男の横には、星をその小さな掌で掴...

今宮読書会 報告 「文学散歩 堺市」

  教養講座の「今宮読書会」も3年目。通算6回目にして、今回は初めての外歩き、「文学散歩」でした。 「与謝野晶子歌碑めぐり」 堺の町を歩きました。 10月5日土曜日。13時に本校集合・出発。ちょうどいいかんじの曇り空。 案内役の編集子を含め、7名が参加しました。 南海本線七道駅から、薫主堂、鳳翔館、山口家など、晶子の時代を髣髴とさせるレトロな街並みをぶらぶらと。 晶子の歌碑を探して、覚応...

てのひら小説合評会 夏の部 報告

恒例となった「てのひら小説」 夏の合評会を、7月25日木曜日 13時~ 2年5組教室にて行ないました。今回の参加作品は以下の3編です。 『草原に佇む男と、小さな少女』 『夢』 飽和珈琲 『Birthdays  Cross』 旗本 合評会には、作者2名と、司会の編集子が加わり、作品、小説に関する深い論議が展開されました。   『草原に佇む男と、小さな少女』......  どことも...

小説 『こたつとみかん』

2012年、秋のオープンスクール体験授業「小説を書こう」で、真幌さんが実演執筆?してくれました。その作品をお送りします。 心暖まる作品をどうぞ。   『 こたつとみかん 』  真幌 「え、白波ちゃんって電気こたつしらないの?」「知らない訳じゃない。掘りごたつしか見たことない」「そんな人も大分と珍しいんだけど......家にないの?」「ない」 きっぱりと言い切った白波ちゃんは銀髪の髪をなび...

今宮読書会 報告 『風立ちぬ』

今宮高校教養講座の今宮読書会を開きました。 今回取り上げたのは、堀辰雄の『風立ちぬ』 2013年7月6日土曜日、14時30分から、今宮高校図書室3階にて、いつものように、和気藹藹と語りあいました。 参加者は、司会の編集子を含めて7名。実は編集子が若かりし学生の頃、大学の文学の教授が、「堀辰雄のはクレパスで書いたような小説だと言われ、皆さん若い頃にしか読まないが、そんなものではない。中高年になったら...

今宮高校読書会 報告

今宮高校読書会 報告  『山月記』を読んで   今宮高校生を対象にした読書会。 今年の第1弾は2年生の授業「現代文」のなかで行ないました。5人程度のグループになって、司会者を立て、全員が思ったことを語り合いました。 6月11日。図書室にて。2年D群。中島敦『山月記』を読んで。 李徴の人柄について。 根はいいけど何だか残念なやつ。 自己中心的で協調性がなくプライドが高い。 頭が良いが性格が...

小説 『color』

てのひらの小説 『color』をお送りします。 僕と彼のちょっと風変わりな道中記です。 どうぞ。     「そうだ、知床行こう」古くからの親友がおもむろに言い放ったそれは、あまりにも唐突で。「・・・は?」たっぷり10秒はかけて、やっとのことでひねり出した言葉は、どうにも間の抜けたものだった。 『 color 』  旗本 1 「・・・いやいやいや、いきなりどうしたんだよ。知床って...

小説 『ガスマスクでもおk?』(後編)

<前編からお読みください。> 『 ガスマスクでもおk? 』(後編)  飽和コーヒー   ドターン! ダンボールに躓いてしまった。相当走ったから疲れたのだろう。「霧島さん...だいじょ...えッ!!?」「いててて...。」ふと見上げてみると、僕がこけた拍子に霧島さんのマスクがはずれている。僕は霧島さんの素顔を始めてみるわけだが、なんというか...。「......。」可愛い。きれいなまつげに...

小説 『ガスマスクでもおk?』(前編)

今宮文芸舎の活動も3年目に入りました。 本年度も応援のほどどうぞよろしくお願いします。 新年度の小説第一弾をお送りします。 てのひら小説参加作品です。前編、後編に分けて。どうぞ。   『 ガスマスクでもおk? 』(前編)  飽和コーヒー   朝だ。清々しい朝である。さて今日も一日がはじm ―ベッドのしたに何かいる。― もぞもぞと何かが動いてうめき声をあげている。どうやら起こしてしまったみ...

平成24年度の記録

今宮文芸舎 記録2012.4~2013.3 項目別インデックス※リンクは貼っていません。 小説5/18 『ワールドリセット』 甘月6/7~9 『滅亡しなかった日』 都9/12  『廻る世界』 真幌2/19 『marquise cut diamond』 かも2/23~3/11 『ショートストーリー』第一章~第四章 さちのか ※国語課題研究作品3/13 『ろくでもない人生』 日足 ※国語課題研究作品 ...

小説 『ろくでもない人生』

今春卒業生の国語課題研究作品から、日足(ひたる)さんの小説を紹介します。   国語課題研究作品 『ろくでもない人生』   日足 (ひたる)  家の近くの喫茶店は今日もいつも見るメガネをかけたおじさんと、髪を整えていないお姉さん、顔もよく覚えていないような大学生くらいの男の人。それから初めて見る人。よく利いたクーラー、薄暗い照明と、店員以外だれ一人として口を開かないこの場所は毎日のようにわ...

小説 『ショートストーリー』 第四章

さちのかさんの国語課題研究作品。最終章をお届けします。   国語課題研究作品 『ショートストーリー』  さちのか  第四章  私と彼女 私は黒猫である。名前は先ほどつけられた。名前を付けた人間と私の関係は唯の顔見知りという微妙な関係である。ことの始まりは約一時間前。私がいつもどおりに間抜けな魚屋に行った時のこと。「また盗って下さいと言わんばかりに魚が置いてあるな。」今日も頂いて帰ろうと思...

小説 『ショートストーリー』 第三章

ひきつづき、さちのかさんの国語課題研究作品を掲載します。   国語課題研究作品 『ショートストーリー』  さちのか  第三章  私と青春 私の名前は真白(ましろ)桜(さくら)。ピッチピッチの高校2年生だ。そこ!死語とか言わない!...おっほん。まあとりあえず分かってほしいことは私が花の女子高生だってことである。春、私は運命的な出会いを果たした。校庭の桜の木の下でハニカムその顔はさながらお...

小説 『ショートストーリー』 第二章

前回につづき、さちのかさんの国語課題研究作品の第二章を紹介します。   国語課題研究作品 『ショートストーリー』   さちのか  第二章 私と彼    あの、好きです!私と付き合ってください! あの、好きです!僕と付き合ってください! ...えっ?......ップ、あははは! ...えっ?......ップ、あはははは! これからよろしくお願いします! こちらこそ、これからよろし...

小説 『ショートストーリー』 第一章

今宮高校では、3年生に「課題研究」の授業があります。1年間かけて、自分の設定した課題に取り組む、いわば「卒業論文」、「卒業制作」といったものです。 国語の課題研究を選んで、小説を創作する生徒もいます。 本年度3年生・15期生の作品から、さちのかさんの『ショートストーリー』を紹介します。 四つの独立したショートストーリーから成る作品です。今回はそのうちの第一章を掲載します。他の章も随時アップしていき...

小説 『marquise cut diamond』

※ てのひらの小説・冬の部から。 かもさんの作品を一挙掲載します。お楽しみください。 『marquise cut diamond』   かも  ある日の午後の事だ。 その日は土曜日。俺はちょうど部活が終わり、帰路に着いているところだった。 朝イチから昼中頃までやっていたから随分と疲れていて背中に背負った弓が何時もより重く感じた。運動部ってなんでこんなに疲れるんだろなー。なんて、誰に向かって言うでな...

てのひら小説合評会 冬の部 報告

てのひら小説の冬の部を開きました。  2月15日金曜日、16時~、図書室にて。 今回は冬休みに執筆時間を取れたので、それぞれ10枚程度の作品が5作集まりました。 合評会の参加者は、執筆者4名、司書の先生、編集子でした。 作品を紹介しておきます。   『marquise cut diamond』  かも  弓道部の俺は、見知らぬ商店街に迷い込み、一軒の雑貨店に立ち寄る。 店長の女性と語り合...