てのひら小説合評会 夏の部 報告

恒例となった「てのひら小説」 夏の合評会を、7月25日木曜日 13時~ 2年5組教室にて行ないました。
今回の参加作品は以下の3編です。

『草原に佇む男と、小さな少女』

『夢』 飽和珈琲

『Birthdays  Cross』 旗本

合評会には、作者2名と、司会の編集子が加わり、作品、小説に関する深い論議が展開されました。

 

『草原に佇む男と、小さな少女』......
  どことも知れない草原に、少女と男がいる。少女は自分を罪人だと言い、男は看守だと言う。果てのない草原が監獄で......
  という設定の掌編。
  幻想的な作風で、草原を監獄とする感性が良い。終わり方がやや唐突。その他、言葉の使い方などに意見が出ました。

『夢』......
  気がつけば僕は部屋にいる。女の子が立っている。場面は、十字路、道、と変わる。そして......
  という、こちらもシリアスでミステリアスな掌編。
  エンドレスに繰り返される悪夢にひきつけられます。説明部分が少ないこともあり、小説内容の解釈が議論を呼びました。主人公の記憶は毎回リセットされているのか、など。接続詞や副詞の使い方にも話題が及びました。

『Birthdays  Cross』......
  双子の兄弟の兄が弟との仲を更に良くしようと考え、友達に相談し、誕生日のプレゼントを買いにいく。それをサプライズで渡そうとするが......
  という、コメディの要素も取り入れた、しみじみ感のある作品。
  会話の掛け合いを主にしたスピーディな展開が読ませます。作者の意図としては、元々普通に仲の良い兄弟がそれをきっかけにして更に仲が良くなる過程を描こうとした、とのこと。それに対して、つながりを深めるラストを読者に納得させるために、途中で仲違いするなど伏線を張って、落差を作ってはどうか、などの意見がありました。

いずれも個性的な3編。この場でアップする予定です。お楽しみに。