2018年4月アーカイブ

20期課題研究より ②の3

今と昔の恋の詠 明けぬれば 暮るるものとは 知りながら       なほうらめしき 朝ぼらけかな 私は朝が嫌い。 だって朝になると彼は仕事に行ってしまうから。 私は大学生で彼は社会人。 同棲を始めてわかったことはなかなか時間が合わないってこと。 彼の仕事はすごく忙しい。朝から晩まで働き詰め。 毎朝私を起こさないようにそろそろと家を出ていくのが愛おしいけど、やっぱり寂しい。 いっそアラームを...

20期課題研究より ②の2

今と昔の恋の詠 うかりける 人を初瀬の 山おろしよ      はげしかれとは 祈らぬものを  今まで俺は女の子に不自由したことがなかった。街を歩けばみんな振り返って俺を見る。声をかければ頬を赤く染めながら俺を見つめてくるんだ。 そんなモテモテな俺が興味を持っているのがクラスの委員長。 実は昨日、俺はいつもの調子で彼女に声をかけてみたんだ。彼女もみんなと同じように真っ赤になるかななんて思って見て...

20期課題研究より ②の1

百人一首から着想を得た創作短編です。 今と昔の恋の詠 しのぶれど 色に出でにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで 僕は今まで誰かに恋をしたことなんてなかった。 別に興味がなかったわけではないけれど、どこかで僕には関係のないことだと感じていた。朝起きて、電車に乗って学校に行く。学校で勉強して、家に帰って寝る。そんな平凡な日々が僕にはお似合いで、それがずっと続くと思っていた。あの日までは・・・...

20期課題研究より ①

20期生はこの春卒業しました。 課題研究の授業で国語の作品、レポートを完成させたなかから、エッセイを紹介します。 徒然なるままに  めがね砂糖 好きなもの  だれにだって、好きなものはあると思う。私ぬいぐるみ大好きなんだよね、とか物質的なものかもしれないし、私は宝塚ファンなんだ、みたいな感じかもしれない。私は、「好きなものって何?」って言われたら、たぶん「音楽」って答える。  そう、私は音楽...