小説 『ショートストーリー』 第三章

ひきつづき、さちのかさんの国語課題研究作品を掲載します。

 

国語課題研究作品

『ショートストーリー』  さちのか

 第三章  私と青春

私の名前は真白(ましろ)桜(さくら)。
ピッチピッチの高校2年生だ。
そこ!死語とか言わない!
...おっほん。まあとりあえず分かってほしいことは私が花の女子高生だってことである。
春、私は運命的な出会いを果たした。
校庭の桜の木の下でハニカムその顔はさながらおとぎ話の王子様が絵本から飛び出してきたみたいだった。
その人の名前は白鳥(しらとり)祐樹(ゆうき)先輩。
彼のことを私はこの約4年間ずっと思い続けていた。
そんな私に今やっと春がやってくるのだ...!
「...何考えてるの?さっきから百面相してるけど。」
「そんな変な顔してた?」

「してた、してた。凄い間抜け面だった。...それはいつもか。」
「ひどっ!そこまで言わなくたって...。」
今話していたのは親友の佐伯(さえき)夏(なつ)美(み)ちゃん。
私の一番の親友である。もとから友達は少ないんだけど...。
「で、またあいつのことでも考えてたの?」
「うん!だってかっこいいし優しいし、完璧だもん!あっ、夏美ちゃん好きになっちゃ駄目だよ。私負けちゃうから!」
「あんな奴、好きにならないよ。桜、趣味悪すぎ。」
「そんなことないよ!あと、あんな奴とか言っちゃ駄目!」
「はい、はい。わかりました。」
そう我が親友、夏美ちゃんは白鳥先輩のことが嫌いなのだ。
これは由々しき事態である。私が好きな人のことは親友にも仲良くしてほしい。
思っていたことが顔に出ていたのだろうか、夏美ちゃんが机に肘を立てて私のことをじっと見ていた。
「別に白鳥先輩が嫌いっていうか。私の勘があいつだけは駄目って言ってる。」
「えっ!でも皆、かっこいい!とか彼氏にしたい!とか言ってるよ?」
「所詮噂でしょ?当てにしないほうがいいって。」
「それなら夏美ちゃんだって勘じゃん!」
それから私はその噂の真偽を確かめるべく、いろんな人の話を聞くことにした。
 
同学年 ○○××さん
えっ?白鳥先輩のこと聞きたいって?
白鳥先輩のことはかっこいい先輩ってことで聞いたことあるけど、あんまり知らないな...。
役に立たなくてごめんね。
 同学年 △△▼▼くん
白鳥先輩?俺はかっこよくて頼りになる先輩だと思ってるよ!
俺が部活で上手くいかなかったとき、いろいろアドバイスとかもらったりしたし。
 3年生 ●○▲△先輩
白鳥君のこと知りたいの?白鳥君はね、もうそれはとっても素敵な人なのよ!テニス部のエースだし!それにこないだ職員室に資料を運ぶ時白鳥君が手伝ってくれたの。しかも、その時何て言ったと思う?怪我したりしたら大変だからね、手伝うよ、だって!はあー、やっぱり白鳥君は理想の王子様ね!

一応いろんな人に聞いてみたけどやっぱりいい人みたい。
 やっぱり夏美ちゃんの勘違いだよ!
そう思って探偵ノート、もとい調査ノートを持って立った時。
「最近ここから部活見てるよね。誰かに用でもあるの?」
声の方を振り返るとなんと白鳥先輩がいたのだ!。
「し、し、白鳥先輩!あ、あのなんでここに!」
私はあまりの事態にパニックになっていた。
「そんなに驚かなくても...。いや、君がずっとここにいるから気になってね。...うん?それは?」
そういって白鳥先輩は私が驚いて思わず落としてしまったあのノートを拾ってしまった。
「あの!それは!何でもなくて!」
「...ふーん。僕の調査ノートねー。何かわかった?」
「...えっと、それがあんまりわかりませんでした...。」
「じゃあ、一回僕と付き合ってみる?」
 .........えっ?
「っということで白鳥先輩と付き合うことになりました!キャー!」
「...はっ?何て言ったの?」
「だ、か、ら、白鳥先輩と付き合......痛い痛い痛いっ!」
「そりゃ痛くしてるもの。へー、あれだけ忠告したのになー。親友の言うこと信じられないのかなー。」
夏美ちゃんに白鳥先輩とのことを報告すると夏美ちゃんは笑っていたが。目は笑っていなかった!
「でも、ちゃんといろんな人に聞いたんだよ!それでみんないい人っていってたし!」
「でもそれ聞いたのそこまであいつと仲いいやつとかじゃないんでしょ?」
「でも...。」
「...はあ。どれだけ言ったって意味ないか。いいわ、好きにしなさい。」
「夏美ちゃん!」
「ただし、何かあった時は私に言うのよ。私はあなたの親友なんだから。」
「うん!」
夏美ちゃん自身はあんまり納得してないみたいだったけど、許しが出た。

 
 夏美ちゃんの誤解を解くためにも白鳥先輩のこともっと知らないと!
私は自分の部屋でそう一人意気込んでいた。
それから私は白鳥先輩のためにお弁当を作ったり、一緒に帰ったり、遊園地や水族館に行ったりもした。
 はあー。あこがれの白鳥先輩と本当に付き合ってるよ!リア充だよ!
そう舞い上がりながら付き合い始めて1カ月が経った。
「...最近先輩からメール来ない。」
「はあ、ほら見なさい。あんたはただ遊ばれただけなのよ。」
「そうなのかな...。」
前までは毎日メールのやり取りをしていたのに、最近はあんまり来なくなった。
 いや、もしかしたら忙しいだけかも!
「ううん。きっと先輩はただ忙しくてメール出来ないだけだよ!だって先輩がそんな人なわけないし!」
「桜...。あんたほんとにポジティブっていうか...はあ。」
「だってそれが私だもん!」
私は笑顔で言った...が、
「...そうは言っても気になるものは気になるもので...。」


私は一人ジュースを飲みながら商店街の中を歩いていた。
周りの電灯がつき始め、たくさんの人が帰宅途中だった。
「...あ!あれ先輩だ!せんぱ...。」
「ああ、真白さんか。一人で買い物?」
先輩を見つけて話しかけようとした時、私は隣にいる女の人を見つけ言葉を失った。
「ねえ、祐樹ぃこの子誰ぇ?」
「ああ、...ただの学校の後輩だよ。」
先輩が横目で私を見て言う。
そうなんだぁ。そうだよ。それだけ言って二人は歩いて行った。
その後自分が何をしたかちゃんと覚えていない。
「それでねー!」
「...ねえ、昨日何かあった?」
夏美ちゃんが顔をしかめて言う。
「何にもなかったよー。どこか変?」
「変。凄く変。あんたはいっつも一人でため込んで...。何かあったことぐらいわかるわよ。」
だって私たち親友でしょ
そうごく当たり前のことのように言うから私は思わず泣いた。
「あのね、じづばね...ズズッ」
「あーもう。ほら涙ふいて、鼻もかみな。」
うん...。ズズーーーーー!
「あのね...。実はね先輩ね他の人がいたの...。昨日たまたま会って、そこで、わ、わだじのごどだだのごうばいっでぇ!」
「ほら、また。はい、鼻かんでー。」
ズズーーーーー!
「ありがと、夏美ちゃん。」
「どういたしまして。それにしても、ちゃんとあいつは駄目だって言ったでしょ。」
「うん...。でも、少しでも付き合えて嬉しかったからいいや...。」
「ほんと...、桜はお人よしだね。」
「えへへ。」
その後私は夏美ちゃんと二人で笑いあった。
 夏美ちゃん、話聞いてくれてありがとう。
 やっぱり夏美ちゃんは私のかけがえのない親友だよ!
 あと、もうしばらく恋はこりごりかな!

一週間後
「聞いて聞いて聞いてー!」
「...今度は何?」
「実は昨日運命的な出会いをはたしてね!」
「こないだの引きずってたんじゃなかったの...。」
「こないだのはこないだ。今は今!」
「はぁ...。」
私の名前は真白桜。
恋多き高校二年生です!

                      < 了 >