今宮高校教養講座の今宮読書会を開きました。
今回取り上げたのは、堀辰雄の『風立ちぬ』
2013年7月6日土曜日、14時30分から、今宮高校図書室3階にて、いつものように、和気藹藹と語りあいました。
参加者は、司会の編集子を含めて7名。
実は編集子が若かりし学生の頃、大学の文学の教授が、
「堀辰雄のはクレパスで書いたような小説だと言われ、皆さん若い頃にしか読まないが、そんなものではない。中高年になったら再読してみなさい」
と仰ったのを覚えていて、今回の課題作品となりました。
感想はさまざまでした。
堀辰雄の文章について......
きれいな文体で、擬人化が多い。読みづらい文章だった。
絵画っぽい文章、空気が澄んでいるのがわかる文章。
翻訳調の文体。描かれる世界は自分とは懸け離れた世界で入っていきにくい。
文章から情景が浮かび上がる。
内容について......
若い頃は辛気臭い話だと思ったが。言葉を発しないでつながりあう関係は、自分の子供が乳幼児だった頃だけ。
悲しい話だが、二人だけのピュアな世界を保っていて、エゴイスティックな話でもある。
濃密な愛の話。
死に向き合った文学。死に向かいあう誠実さがある。
最終章「死の陰の谷」で文体が変わった。読みやすくなる。死後、緊張感が解けたのか。
ラストに引用されるリルケの詩はどういう意味か。
などなど。いろいろな意見が出ました。
若い頃は「生と愛」の小説として読み、今は「死」と向き合った小説として読む。
再読して語りあうことで、読み方、感じ方が深まった、有意義な時間を過ごせました。
以上、読書会報告です。
次回は11月に文学散歩に出かけましょう。