緊急事態宣言の先行解除判断見送り

 大阪府が政府に、緊急事態宣言の解除要請を行うのを見送りましたが、政府も一部地域の先行解除について今週末の判断は見送るとしました。新規感染者数の減少はあるものの多くの地域で病床の逼迫が続いていることがあり、政府分科会の尾身茂会長も記者会見で、「医療の負荷を重視」を強調されていました。

 医療の現場を目の当たりにすることはありませんが、医療従事者の声など様々な報道でも本当にぎりぎりの状態、終わりの見えない状態がずっと続いていることは皆が知っています。自分の身近なことでは、10月初めにずっと入院していた父が亡くなりました。入院中は、仕事が休みの日に顔を見に行くことしかできませんでしたが、それでも顔を見て話をすることができると、父も喜んでいました。それが、感染が拡大して、面会することができなくなりました。看護師さんを通じて洗濯物を交換し、様子を聞くことしかできませんでした。そんな日が延々と続き、9月の終わりに病院から電話がかかってきて、意識不明となり、危ないとのことでした。慌てて駆けつけましたが、父は一命をとりとめ、それから10日間ほどがんばりました。意識不明のままでしたが、それでもほぼ毎日学校が終わってから10分ほどでしたが、病室に入らせてもらうことができました。今から思えば、本当にありがたいことでした。家族で見送ることもできました。最近、その病院でクラスターが発生して、入院していた知人の親族が亡くなり、きちんと見送ることもできなかったという話を聞きました。現実の恐ろしさを実感しました。改めて、少しでも感染の拡がりを防ぐために、自分でできることを気を抜かず実行することはもちろんですが、学校現場での様々なことも考えていかなければならないと思いました。

 大阪府の吉村知事の発信をずっと聞いていて、「そんなに早く解除して大丈夫なの?」と思った人は多いと思います。私もその一人です。何が正解か確証が得られないのはわかっていることですし、経済のことを考えると宣言解除が必要なこともまたわかるのですが、それにしても大丈夫なのだろうかと。学校はこれから、学年末考査、卒業式、高校入試と続いていきますし、3年生はまだ受験シーズン真っ最中です。来週の3年生の登校日も生徒の皆さんの安全や健康を第一に考えようと、先生方と相談し、とりやめることにしました。1・2年生は、学年最後のクラスマッチも実施できるかどうか心配なところです。3月22日からに延期した修学旅行も必ず実施したい!と思っています。そのためにも、今は少し我慢の時なのではないか、と思ってしまうのですが、それは学校のことだけを考えている身勝手でしょうか。

 そんなことを思っていると、今日の朝刊に、「政府が先行解除をいったん見送った背景には、夏の東京五輪・パラリンピックもある。」と書いてありました。

 それぞれの立場で、それぞれの思いで、悩み続ける日々が続きます。