見たぞ!三丘スピリッツ!2023体育祭に感動

 「三丘スピリッツ」とは、三国丘高校に受け継がれ、守り抜かれてきた精神(三丘生としてのあるべき姿)です。その中核は"自主自立"。"自主自律"ではなく"自主自立"です。自分で自分を律するだけではなく、自立することを目標としています。ここで言う"自立"を体育祭の活動に当て嵌めて考えれば、企画段階から後片付け、さらには、後日、総括が終わるまで、すべて生徒が主体的に取り組むということです。厳しい時間制限がある中、これを成し遂げるのは並大抵のことではありません。大人が仕事としてイベントを企画運営したとしても、高い満足度を獲得するのは至難の業ですので、ご想像いただけると思います。

 4月当初から、生徒たちがコツコツと積み上げてきた努力はすべてこの日(9月22日)のためです。前日の天気予報は大雨...準備に汗をかいてきた生徒たちが、この予報をどんな思いで見ていたのかと思うと胸が痛くなります。いよいよ迎えた当日の朝、午前7時30分、私がグラウンドに出てみた時には水溜りが相当数ありました。特に、校舎側は酷く、正直に言えば、開催できるかどうか微妙な状況だったと思います。

 間もなく、クラブ員が続々とグラウンドに出てきて水抜き作業が行われました。スポンジで水溜りの水を吸い取り、土を被せて踏み固めるという地道な作業です。私も少し手伝いましたが、はじめた頃は終わりの見えない作業のように感じました。黙々と作業を続ける生徒たちの姿を見ていると、私が励まされているような気分になってきました。40分くらい経った頃でしょうか、保健体育科の先生が私のところに来て言いました「開始時間を少し遅らせて開催したいと思います」「ここまで来たらやるしかないです」。この先生は、生徒の思いも、作業の完了時刻も見通しておられたのでしょう。この一言が私にはとても嬉しかったです。

 今年の体育祭は特別な意味を持っています。コロナ禍後はじめての通常開催。伝統の「棒倒し」「棒引き」も復活です。この日は、前夜の雨で湿度は高かったものの気温は低く、数日前とは比べものにならないくらい熱中症のリスクは低かったと思いますが、スポーツドリンクの配付や休養室の設定、救護体制の整備など万全の体制を整えた上で開会式が始まりました。種目は以下のとおりです。

騎馬戦/大縄跳び/棒倒し・棒引き/玉入れ/クラブ対抗リレー/応援合戦/障害物競走/クラス対抗リレー/二人三脚リレー/綱引き/台風の目/団対抗リレー

 私が感動したのは「生徒が体育祭を楽しむ姿勢」です。言い換えれば、自分たちが創った自分たちの体育祭を大事にする気持ちです。それが端的に表れていたのが進行です。大抵、どの学校の体育祭でも、途中で、教員の声が聞こえるものです。生徒全員に何らかの指示をするために教員がマイクを持つことはあります。それが、この日は一度もありませんでした。中学生のみなさんや保護者の皆様方は、そんなことを書くのか?と思われるかもしれませんが、みなさんが経験した体育祭(運動会)を思い浮かべてみてください。体育祭のような大きな行事をするときには、全体を把握する教員の存在はとても大きいです。勿論、この体育祭でもそういった教員はいましたが、一切表には出ません。最初から最後まで生徒が「自主自立」でやりきった体育祭でした。「自主自立」で創りあげた体育祭だったからこそ、みんなが真剣に競い、真剣に楽しむことが自然とできていたのだと思います。まさに、三丘スピリッツの体現です。

 当日は、たくさんの生徒の保護者の皆様にもお越しいただきました。観客席が少なくご不便をお掛けしましたが、生徒たちはみんな喜んでいました。写真をたくさん撮りましたので、ご覧ください。